新人ST向け:CPAPと鼻咽腔閉鎖機能不全

摂食嚥下関連
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鼻咽腔閉鎖機能不全の患者様。

昔はブローイングが効果あるって言われていたけれども、最近では効果がないという文献も多い。

じゃあ次にどういった介入方法があるのかなぁ?

軟口蓋挙上装置(PLP)が有名ですね。

それ以外にも「持続陽圧呼吸療法(CPAP)」も効果があると言われています。

CPAP?

聞いたことがあるような……?

なんだっけ?

CPAPとは?

CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)とは、機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。

一般社団法人 日本呼吸器学会 URL: https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=141 2021年12月20日確認

本来は睡眠時無呼吸症候群の治療で活用されている治療方法ですね。

CPAP治療を行った患者さんの方が明らかに長生きできたなど、多くの研究によって、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAPの効果が証明されています。

一般社団法人 日本呼吸器学会 URL: https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=141 2021年12月20日確認

CPAPと睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠中に無呼吸を繰り返すことで、様々な合併症を起こす病気です。

一般社団法人 日本呼吸器学会 URL:https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=42 2021年12月20日確認

CPAPの効果

上記の状態から……。

鼻から空気を送り込み、気道を確保するのです。

CPAPの特徴

非観血的であり、手術などをせずに行えるのが良いポイントですね。

これがどうして鼻咽腔閉鎖機能に一役買うのかなぁ?

CPAPと鼻咽腔閉鎖機能不全

鼻咽腔閉鎖機能不全とは?

例えば、鼻咽腔閉鎖機能が悪い状態だと、声を出す際に本来口から出て欲しい声(呼気/および空気)が鼻の方へ抜けてしまいます。

つまり、鼻と咽頭を閉鎖する弁のような働き(機能)が悪くなってしまうことを鼻咽腔閉鎖機能不全と言われます。

鼻咽腔閉鎖機能不全によって起こる不利益は?

〇嚥下が悪くなってしまう

〇(鼻声のようになり)言葉が聞き取りにくくなってしまう

〇何度も聞き返され話す意欲が無くなり、孤立に繋がる恐れがある

などが上げられます。

なぜCPAPで良くなるのか?

とある文献ではこんなことが記載されています。

CPAP療法の概念として

軟口蓋が挙上し鼻咽腔が狭小化されている状態で鼻腔内に空気を吹送すると、上昇させられた鼻腔内圧によって鼻咽腔閉鎖強度を上昇 させるようになり、

この訓練を継続することによって鼻咽腔閉鎖関連筋を強化することができるであろうとしている。

舘村 卓,原 久永, 高 英保, 佐藤 耕一, 岸本 博人, 和田 健, 鼻咽腔閉鎖機能に対する持続的鼻腔内陽圧負荷(CPAP ContinuousPositiveAirPressure)の効果, 日本口蓋裂学会雑誌 19 : 111-119, 1994年

おそらく、CPAPによって空気が送り込まれ、鼻咽腔内の圧などの影響から鼻咽腔閉鎖機能がしにくくなり、鼻咽腔を閉鎖する強度が上昇する。

結果、鼻咽腔閉鎖に大きな負荷がかかるため、出来た際には鼻咽腔閉鎖関連筋が強化されているという具合であると推察します。

実際に、鼻腔内圧が上昇しすぎると効果がないと論文では書かれています。

鼻腔(マ スク)内圧を上昇させると、ある高さまでは口蓋帆挙筋活動 は上昇し、さらに高い鼻腔(マスク)内圧を負荷すると低下した。

筋活動が上昇から低下に転ずる鼻腔(マ スク)内圧の高さは被験者 によって異なっていた。

舘村 卓,原 久永, 高 英保, 佐藤 耕一, 岸本 博人, 和田 健, 鼻咽腔閉鎖機能に対する持続的鼻腔内陽圧負荷(CPAP ContinuousPositiveAirPressure)の効果, 日本口蓋裂学会雑誌 19 : 111-119, 1994年

どれくらい効果があるの?

Kuehn1)の報告では、臨床的に6人中4人に施行後に効果のあったとのこと

原 久永2)の報告では、若い口蓋裂術後患者10人に実施し、4人に効果があったとのこと
 効果が表れなかった6人のうち3人は続けることでごくわずかに鼻咽腔閉鎖機能不全が良くなったとのこと

やはり、効果が期待出来る程度であって、難しいということでしょうか。

適用は?

〇治療に協力的であること(認知に問題がない)

〇廃用的な要素が強い患者様向け

そこに加えて専門医師の協力や、保険適応外での話にもなってくるため現実的には厳しい側面が多いですね。

今すぐどうこうとはいかないわけか……。

今後のさらなる研究が期待されますね。

軟口蓋挙上装置(PLP)の作成が行える歯科クリニックはかなり限られていると思いますし、作成に20万程かかるとネットで拝見したことがあります。

でも……まだそっちのほうが現実的なのかなぁ?

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

〇文献ではCPAPによって鼻咽腔閉鎖機能不全に効果が見られた症例があること3)

〇とはいえエビデンスレベルは高くはない

〇現実的に実施は現状難しい

CPAPによる鼻咽腔閉鎖機能不全改善の原理などについてお伝えしました。

現状本格的に実施するのは難しいですが、今後の研究に期待が膨らみますね。

それでは!


1) Kuehn, D. P.: New therapy for treating hypernasal speech using continuous positive airway pressure (CPAP). Plast. Reconstr. Surg., 88 : 959-966, 1991.

2) 原 久永, 舘村 卓, 高英 保, 森本 知花, 平田 創一郎, 米田 真弓, 和田 健, 持続的鼻腔内陽圧負荷装置 を用いた鼻咽腔閉鎖機能賦活法(CPAP療法) のnasalanceによる評価, 日本口蓋裂学会雑誌 23 28~35, 1998年

3) 西尾正輝, MTPSSE 第1巻 高齢者の発話と嚥下の運動機能向上プログラム:総論, 学研メディカ ル秀潤社, 2021年 pp.28

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