失語症の方のリハビリ方法の1つとして「絵カード呼称訓練」というものがります。
絵が描かれているカードを見て、その絵に描かれた物の名前を答えていくものです。
しかし、そのカードを作るにあたって問題があります。
絵カードを用意するのが難しいという点です。
失語症といっても様々あり、自主トレ1つとってもその人に合った絵カードを用意する必要があります。
例えば、その人が普段から使っている物であれば言葉が出やすいなんてこともあります。
では普段使っている物を写真で撮るとします。
写真を見ればいつでも呼称課題をすることが出来ますが、果たして「カード」として使用することが出来るでしょうか?
今から
- 「安価で」
- 「自主トレに用いやすい」
絵カードの作り方についてお伝えしていきます。
絵カードを用意する問題点
1つずつ解説します。
市販のものは自由度に欠ける
市販のものはイラストがあり非常にわかりやすいですが、無駄にデコレーションされていたり、文字が書いていたり、逆にシンプル過ぎて実用性に欠けてしまったり、微妙に使いにくいことが多々あります。
さらに失語症の方は絵カードよりも「写真」の方が理解を得やすい場合が多いです。
しかしながら「写真」を用意するのは少し難しいです。
文字認識を促したい人であれば、写真を撮った後、文字を添えたりして加工の手間もかかります。
撮る前に、準備しておくこともあり労力を要します。
自由度を上げるとカード強度が下がる
今ネット上で見つかるイラストは何万点にも及びます。
無料で手に入り、印刷も自由に行え、失語症の方にとってぴったりのイラストや写真を見つけたとします。
それを印刷することはどこの事業所でも可能であると思います。
しかし、そういった「絵カードを作るための自由度」が上がるとカード自体の強度が下がります。
どうしても「A4の印刷用の普通紙」になってしまうのではないでしょうか?
そうすると破れやすかったり濡れてダメになってしまうケースが多いです。
特に失語症の方は片手での操作を強要されます。
片方の腕が動かないため、片手で操作が可能なものであると嬉しいですね。
印刷用紙ではすぐにクシャクシャになってしまいます。
自由度と強度を上げると費用も上がる
例えば「A4の印刷用の普通紙」にラミネート加工をすることで強度が上がり、クシャクシャに折り目がつかず、濡れても問題ありません。
しかし、すぐにラミネート加工することが出来るでしょうか?
事業所によってはラミネート加工ができるところもあるでしょうが、多くはないのではないかと思います。
そうなると外部に頼む必要があり、費用が上がります。
今はセリアなどでラミネート加工機がいらないラミネートフィルムが1枚110円で売られていますが、今回ご紹介するものはそれよりも安価で大量に作成することが出来ます。
解決策
例えば「100円均一」に売っている写真プリント用紙であれば、写真で撮らせてもらった身近な物品を丁度良い大きさに印刷することが可能です。
利点:写真で撮ったものを綺麗に印刷できる
大きさがちょうどいい
めくりやすい
欠点として、写真だけの提示になりがちであり、アレンジすることは可能だが難しい点です。文字を入れたり、補足説明などを入れるといったアレンジは難しいです。
その点「ファイルアルバム台紙」を活用すれば、手間をあまりかけずにしっかりアレンジすることが可能です。値段は110円です。クリアファイルなどの売り場に置いてあります。

利点:印刷用の普通紙でも貼り付けられるため強度が増す
カッターナイフで丁度良い大きさに切れる
めくりやすい
普通紙で印刷したものを切り貼りすることで、失語症の方にとってわかりやすい情報のみを簡単にアレンジして提示することが出来ます。
「6枚入り」であり3等分して18枚、裏表で36枚となります。
ラミネートフィルムよりも安価で大量に絵カードを作成することが出来ます。
パソコン操作と写真加工に慣れている人であれば、そのまま加工して写真プリント用紙に印刷したらいいですが、それが難しい人はいったん写真を普通紙に印刷して、欲しい部分だけ切り抜き、ファイルアルバム台紙に貼り付け、文字を添えればいいためアレンジしやすいです。

せっかく作った絵カードもバラバラになってしまっては元も子もありません。
そのため「カードリング」でひとまとめにすると良いですね。
100円均一の筆記用具売り場、クリップなどが売られている場所にあります。
写真であれば穴を開ける必要がありますが、「ファイルアルバム台紙」であればもとより穴が開いているため、リングに通すだけでいいですね。
下手にファイリングするよりも、片手で操作しやすいため、失語症の方にとっても使いやすくなります。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
訪問リハビリなどで自主トレに困る場面が多くあるのではないかと思います。
そして、利用者様一人一人に合った自主トレを勧めていくにあたり、個人に合わせた配慮が必要となります。そのアレンジ力は重要であり、それにこたえられる2つのアイテムと、まとめるカードリングがあれば安価で提供することが出来ます。
これらの情報が日々の臨床に活用できると幸いです。それでは!
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