音声訓練を行う上での心構え
音声障害の治療について知る
音声障害の治療は、耳鼻咽喉科医師による医学的治療と言語聴覚士による行動学的治療(音声治療)に大別できる
熊倉 勇美 / 今井 智子, 発声発語障害学, 2015年01月, 医学書院
そのため、医師は音声障害の器質的な異常にアプローチし、外科的手術や吸入などを行っていきます。
言語聴覚士が行う訓練は外科的な手術や吸入療法は行えず、発声行動の異常を訂正することが主となります。
また、音声障害による心理面のケアも大切です。
仕事柄、声を出すことが多い人にとって、声が奪われるのは相当落ち込みますし、早く仕事に復帰したいと思うようになります。
そういった緊張によって余計に声帯へ負荷がかかることもあるので、傾聴からのラポール形成も重要です。
音声訓練の種類
言語聴覚士が行う音声訓練を一覧にしてみます。
- 声の衛生と直接訓練の併用
- 集団指導
- 声帯の保湿
- 直接訓練:プッシング法
- 直接訓練:あくび・ため息法
- 直接訓練:咀嚼法
- 直接訓練:ハミング
などなどあります。
エビデンスレベルとは?
科学的根拠の信頼性の度合いとして見られる「エビデンスレベル」
これが高いほど科学的根拠に基づいて信頼性のある治療と言われます。
エビデンスが低いと「専門家の意見」という分類です。
エビデンスを高くするためには、「専門家の意見」→比較研究/相関研究⇒無作為比較試験(ランダム化比較試験)を行う必要があります。
Ⅰa:系統的レビュー メタ アナリシス
Ⅰb:無作為化比較試験
Ⅱa:よくデザインされた非無作為化試験
Ⅱb:よくデザインされたその他の準実験的研究
Ⅲ:非実験的記述的研究(比較研究/相関研究)
Ⅳ:専門家の意見
という順番になります。
系統的レビュー メタ アナリシスとは、「無作為化比較試験」のデータをさらに分析し、治療効果が期待出来ることを指しています。
無作為化比較試験とは、治療を行うこと意外は公平になるように、介入群と対照群に分けて効果を明らかにする手法です。
STが関わる疾患は「集団の公平性」を出すことが難しいのでなかなかエビデンスレベルの高い治療を行うことが大変です。
では、実際に、上記の訓練についてのエビデンスレベルをお伝えします。
- 声の衛生と直接訓練の併用⇒Ⅰb
- 集団指導⇒Ⅱa
- 声帯の保湿⇒Ⅰb
- 直接訓練:プッシング法⇒Ⅲ
- 直接訓練:あくび・ため息法⇒Ⅲ
- 直接訓練:咀嚼法⇒Ⅳ
- 直接訓練:ハミング⇒Ⅱa
となっております。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
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