
嚥下能力が上がり、生活全般の意欲が上がった症例様がいらっしゃるので、院内発表練習をしようと思ったけれども、生活全般の意欲を評価する方法って何があるんだろう?

意欲低下、意欲低下、っていうけど、何の意欲低下があるのか意外と具体性がないんですよね。
その辺りをしっかりと見てくれるバッテリーがあります!
意欲の指標(Vitality Index)
鳥羽らによって,虚弱高齢者を対象とする日常生活動作に関連した「意欲」についての客観的機能評価法
寺岡 加代, 森野 智子, 施設在住要介護高齢者の意欲 (Vitality Index) に関する縦断研究, 老年歯科医学 25 巻 2 号, 2010年
それが「Vitality Index」なのだそうです。
評価項目
- 起床
- 意思疎通
- 食事
- 排泄
- リハビリ
以上5項目を評価していきます。
各項目を0点~2点で評価し、10点満点で見ていきます。
起床
2点:いつも定時に起きている
1点:起こさないと起床しないことがある
0点:自分から起床することがない
ただし、薬剤の影響は除外します。
座位が取れない場合は、開眼覚醒していれば大丈夫です。
意思疎通
2点:自分から挨拶がある 声かけがある
1点:挨拶や呼びかけに対して返答または笑顔がみられる
0点:応答なし
ただし、失語の場合は除外します。
言語以外での反応を見ていきます。
ブローカ失語は自身からの発語が難しいため、1点の内容でも2点とする場合もあります。
食事
2点:自ら進んで食べようとする
1点:促されると食べようとする
0点:全く食べようとしない
器質的な消化器疾患の方は除外することもあります。
麻痺や認知症などで食事の介護が必要な方も、口元まで運ぶと開口があり、摂取意欲が認められたら2点とすることがあります。
排泄
2点:いつも自分から便意、尿意を伝えてくれる
1点:時々、便意と尿意を伝えてくれる
0点:排泄に全く関心がない
ポイントは失禁などの有無は問われません。
尿意が不明でも、失禁後に不快感を伝えてくれれば、2点となります。
リハビリ・活動
2点:自らリハビリテーションに向かう。自ら活動を求める
1点:促されて向かう
0点:拒否 無関心
活動とあるので、散歩やレクリエーション、テレビでも可能です。
寝たきりの患者様でも、ベット上ROMに対してでも意欲的に受け止めてくださったりすることが認められれば2点です。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
この指標を用いて「意欲」というあいまいなものに点数を付けることが可能となります。
何の意欲がどれくらいないのかを数値化できるのはとてもありがたいですね。
症例発表の時などで役立つバッテリーだと思います。
p.s.
引用させていただいた論文にはこういった内容があります。
食事動作の自立度が低下すると,食べる順序や速さを他人に委ねることになり,個人の主体性に依拠する食事の楽しみが大いに損なわれ,生活意欲の低下に繋がると推察される。
寺岡 加代, 森野 智子, 施設在住要介護高齢者の意欲 (Vitality Index) に関する縦断研究, 老年歯科医学 25 巻 2 号, 2010年
自力摂取が出来なくなることで、生活全般の意欲が低下しやすいという結果が現れました。
意欲低下には自力摂取の維持が必要不可欠ということですね。
毎日食べられている人でも、何かの拍子に食べられなくなることはあります。
しっかりと自力摂取が維持できる介入というのも必要ですね!それでは!
コメント