
多くの場合、嗅覚障害の診断を下すため医師は
- 問診
- 視診
- 画像診断
- 各種聴覚検査
- 各種嗅覚検査
が行われ、原因の特定、障害の程度の把握、予後予測をされます。
今回はその中の「各種嗅覚検査」の中の1つ「T&T オルファクトメーター」のご紹介です。
T&T オルファクトメーターについて
検査をとる目的
T&T オルファクトメーター(第一薬品産業株式会社, 東京)は日本で開発された嗅覚検査キット
嗅覚障害の診断、治療および予後予測のために障害の程度が明確に判定できるような嗅覚の評価方法が必要と考えられる。
古田 厚子;嗅覚障害診断のための検査; におい・かおり環境学会誌 45巻 4 号 2014年
検査をとり、障害の程度や予後予測をしていくために必要と言われているようですね。
T&T オルファクトメーターの特徴
T&T オルファクトメーターは
- 検知閾値
- 認知閾値
を調べることが出来ます。
検知閾値……8段階に分けられた5種類の匂いを、1種類ずつ薄い臭いから検査していき、何かの匂いを感じた場合に答えてもらう。なんとなく何かの匂いを感じるというレベル。ちなみに8段階というのは、-2~5の8段階で値が高いほど濃い臭い。(香ばしいカラメル様香気は7段階)
認知閾値……検知閾値を超え、さらに強い臭いをかがせて何の臭いかまで分かった時の匂いの強さを示す。
合っていない場合はさらに強い臭いを与え、一番強い臭いである「5」でも正答しない場合はスケールアウトとして「6」扱いとなる。
この数値を平均して計算し、障害がどの程度かを数値化していく。
健常者の平均値はおおよそ「1」となるようです。
手順
手順は次のようになっております。
- 長さ14㎝程の無臭の紙を用意し、一端を持って1㎝程各ビンの中の液体に浸す
- 匂いを嗅いでもらう 要領は鼻よりも1㎝ほど離しておく
- 出来るだけ臭気のない場所か換気が行き届いている場所が望ましい。
- 匂いを嗅ぐ順番は各ビンに記載されているA~Eの順番
- 最低濃度の-2から嗅いでもらい、1段階ずつ強い匂いを嗅いでもらう
- 記録用紙(オルファクトグラム)に検知閾値が出れば〇 認知閾値が出れば× 出なければスケールアウトとして↓と書く
- 5認知域値の平均(A+B+C+D+E)/5 を求めて、平均認知域値とする。
この平均認知閾値が上がって下がっていれば、嗅覚が良くなっていると言えるわけですね。
注意点
- 1本1本匂いを付けた紙は捨てる
- 換気が行き届いている部屋で行う
- 認知閾値の場合、被験者の回答に対して、正誤判定が難しい
といった点が上げられます。
また、詐病(鼻が悪くないのに悪くなる判定となるよう嘘をつくこと)の判断も難しいとされています。
詐病の判定は困難であるが、詐病の疑いがある場合には、目隠しをした状態で嗅素Cの5などの不快な強いにおいを提示し、被検者の反応を観察するとよい。
古田 厚子;嗅覚障害診断のための検査; におい・かおり環境学会誌 45巻 4 号 2014年
といったテクニックも記載されています。

匂いなんてわかりません……。
と答える割には、臭い匂いを嗅いだ瞬間しかめっ面をしていれば、嗅覚はあると判断できるわけですね。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
上記参考にさせていただいた論文は、「認知閾値判定をする際、被験者の回答語表」も記載されているため、迷ったらこの論文を参考にしてみると臨床で活かせるかもしれません。Googleで検索すると1発で出てきます。是非ご活用ください。
何かのお役に立てば何よりです。それでは!
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