日々、様々な嚥下体操が考案されており、嚥下能力の低下防止に役立っております。
しかし、安易な嚥下体操は逆に危険である可能性もあります。
その例についてお伝えしたいと思います。
嚥下体操について

嚥下体操の1つに「おでこ体操」というものがあります。
「おでこ」に手を当てておへそを見る運動のことです。
その際、おでこに当てた手に力を入れて、おへそを見ないように抵抗を加えます。
その間、首は下を向こうとする力が働くため、首の筋肉が鍛えられます。
首には嚥下に関わる筋肉がたくさんあるため、レジスタンス(抵抗)トレーニングになるのです。
この体操の適応者
などがあります。
認知面がクリアな人
そもそも「嚥下体操」をする理由を理解できない人や、拒否的な人にはこの運動の意味がありません。
なぜおでこに手を当てて下を向く体操が良いのかなど説明をしても、理解を得られにくい人はいらっしゃいます。
そういった方へ無理にこの運動をすることでかえって悪くなる可能性もあります。
円背でない人
安易に「嚥下体操」を行わない方が良い理由として円背があります。
「円背」とはいわば猫背のことです。

猫背になると首が前に出すぎてしまうため、嚥下に役立つ首の筋肉のトレーニングがしにくくなります。
特におでこ体操は「胸鎖乳突筋」の筋トレにもなってしまうため、さらに猫背が悪化する可能性もあり注意が必要です。

そのため、しっかりと姿勢を見てもらえる人(例えば理学療法士さん)からアドバイスをもらうことが大切です。
安易に「嚥下に良いから嚥下体操をする」と姿勢の悪化につながる恐れがあります。
肺疾患のない人
少し大げさに肺疾患と書きましたが「肺」が悪い人は要注意です。
上記にも書いた「胸鎖乳突筋」は肺疾患になって呼吸がしんどくなった時、呼吸を補助する役割のある筋肉でもあります。
そのため呼吸がしんどくなっている状態で「胸鎖乳突筋」を鍛えることはより呼吸に負荷を与える可能性があり危険です。
加えて「肺疾患」の重度の方は首まわりの筋肉が硬く固定されていることもあるので、そもそも首が動かずおへそを見れないなんてこともあります。
そのため「肺疾患」のある人に対して行う時も注意がいるため、専門家(例えば言語聴覚士など)へアドバイスしてもらうのが良いと思われます。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
日々患者様や利用者様の状態を見ているリハビリのスタッフさんであれば、嚥下体操にも詳しいので、本人様に合った「回数・負荷量・注意事項」などを教えてくださると思います。
そしてリハビリスタッフの方はそういった質問に対して答えられるとより臨床がしやすくなると思います。
こちらの記事もご参考にいただければ幸いです!
日々の臨床がより良い物となるといいですね。それでは!
コメント