新人ST向け:下垂した喉頭にどうアプローチする?

嚥下訓練
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男性高齢者の患者様。

明らかに喉頭が下垂している。

安静時と声を出した時で1横指分も喉頭が上がる。

声を出し切ったら喉頭が下がる。

口腔内の色々な筋肉が減って喉頭を元の位置に戻せないんだろうなぁ……。

こうなると怖いですね……。

本人様も飲み込みにくさを自覚している。

リハビリを求めているけれど、正直どうしたらいいのかわからない。

喉頭が下垂することで、様々な嚥下障害が出現してしまいます。

そこで、解決策の1つとそれによる効果について考察してみました。

喉頭下垂への対策とは?

〇舌骨上筋群の等尺性収縮訓練に効果が見られた

〇あご先に指をかけて4~6秒間、あごを引く訓練

〇毎食3回、4週間で変化が見られるようになった

とある文献にはこんなことが書かれております。

年齢とともに胸骨に近づいた舌骨・甲状軟骨の位置はこの訓練により頤(オトガイ)に近づいた

岩田義弘, et al. “高齢者に対する頸部等尺性収縮手技 (chin push-pull maneuver) による嚥下訓練-自己実施訓練の効果.” 耳鼻と臨床 56.Suppl. 2 (2010): S195-S201.

おぉ!これはすごい!

いったいどんな訓練なんだろうか?

訓練のポイント

”舌骨上筋群の等尺性収縮訓練”

この言葉が鍵になりそうですね。

等尺性収縮……。

あぁ。あれね。あれ。

筋肉の両端を固定して筋肉が収縮しても筋が短くなることができないような収縮を等尺性収縮という。

コトバンク https://kotobank.jp/word/%E7%AD%89%E5%B0%BA%E6%80%A7%E5%8F%8E%E7%B8%AE-103672

だいぶざっくりになりますが

ダンベルを持って動かすと、上腕二頭筋などは収縮して短くなるため「等張性収縮」

ダンベルを持ったまま動かさないでいるが、落とさないように力が働くと、収縮せずとも筋肉が働いているため、”筋肉の長さが変わっていないため”『等尺』性の収縮、となるのです。

これを、舌骨上筋群に当てはめるわけね。

ええっと、つまり……。

舌骨上筋群に力が入っているけれども、短くならないように抵抗を加える運動ということかな。

訓練の方法

1. あご先に指をかける

2. あごを引く動きをする

3. 6秒間その姿勢を続ける

4. 上記を3回1セットとし毎食、4週間行う

5. RSSTや喉頭の位置が変わるという結果がある

あご先に指をかける位置や、あごを引く動きが大切ですね。

あご先に指をかける位置はこちら

両手で行う方法が論文内で掲載されています。

この位置に指をかけてから、あごを引くのです。

ただし、この「あごを引く」運動で頸部の屈曲を出すのは少し違います。

どちらかというと、「首を後ろに引く」のが正しいんですよね!

この訓練を毎食3回6秒4週間続けてもらうそうです。

約1ヵ月で合計252回。

1512秒=約25分してもらうわけですね。

期待される効果

◎舌骨および喉頭の位置が上がる

◎RSSTの回数が増加する

◎嚥下の改善に期待

といった結果が出ています。

単純レントゲン写真

訓練後、舌骨は前方にさらに下顎骨に接近し、舌全体が前方に偏倚している。

さらに甲状軟骨は胸骨から離れ舌骨とともに下顎骨に接近していることが確認できた。

岩田義弘, et al. “高齢者に対する頸部等尺性収縮手技 (chin push-pull maneuver) による嚥下訓練-自己実施訓練の効果.” 耳鼻と臨床 56.Suppl. 2 (2010): S195-S201.

RSSTの結果を示す。

訓練前の平均2.7±1.2回であったものが実施後6.2±1.6と優位に回数が増えた

岩田義弘, et al. “高齢者に対する頸部等尺性収縮手技 (chin push-pull maneuver) による嚥下訓練-自己実施訓練の効果.” 耳鼻と臨床 56.Suppl. 2 (2010): S195-S201.

上記から、嚥下能力の向上が見込めますね。

◇喉頭の下垂が改善されると……?

〇喉頭挙上距離の改善

〇嚥下時間の短縮

〇咽頭残留軽減

これらが期待されますね。

注意点

・上記訓練での高齢者はADL自立で神経学的異常のない方

・通常の摂食嚥下を保持する姿勢、座位が取れる人だと効果が期待出来るかもしれない

・呼吸器疾患があり、努力性の呼吸が認められていたり、急性期の訓練には不向きの可能性

対象者について

対象者は60~80歳で、ADLの自立している神経学的に異常のない方。

脳血管疾患ならまだ可能性が残されていますが、神経難病の方にはもしかしたら不向きかもしれません。

また、今の現状を維持する予防効果しか見込めないかもしれません。

特に進行性の神経難病疾患はきつそうですね……。

訓練姿勢について

あごを引く運動を促すため、ベットギャッジ座位では少し不向きかもしれません。

論文内にも、「通常の摂食嚥下を保持する姿勢」とあるため、座位で訓練することを想定されていそうですね。

急性期の訓練には不向き

誤嚥性肺炎発症初期などは筋トレなどをせず、まずは肺内の炎症が消えてから行うのがベストでしょう。

早期介入が主流とはいえ流石に安静にしてもらうのが良いと思いますね。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

〇喉頭下垂に対しての筋トレアプローチを紹介

〇ADLの保たれている方が対象の研究のため、介護分野で効果が期待されるか

〇呼吸器疾患を持っており、努力性の呼吸がある場合は胸郭へのアプローチも視野

こんな感じでまとめてみました。

上記にある注意点なども考慮し、上司や医師と相談しながらリハビリを進めて行けると良いですね!

それでは!

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