立ち上がり運動は全身の筋量を増加させる
二次性サルコペニアを呈する要介護高齢者を対象に、HEとして反復起立運動を用いた介入を行った。
その結果SMIについては、HEと研究期間と言う要因間で交互作用を認め、実施群では研究開始時よりも6か月後に優位なSMIの上昇が認められた。
松尾 厚, 松藤 祐一郎, 川田 将之, 二次性サルコペニアを有する要介護高齢者に対する6ヵ月間のホームエクササイズの試み-反復起立運動の骨格筋量および身体機能に対する効果-, 理学療法 38巻 4号, 2021年
※二次性サルコペニア……加齢以外の原因で起こるサルコペニアの総称。疾患や栄養障害、運動不足などによって起こるサルコペニア
※HE……ホームエクササイズの略
※SMI……骨格筋量を表す指数。サルコペニアの診断基準の1つで、上下肢の筋肉量を身長の二乗で割った値のこと。体成分分析装置(InBodyなど)を使用して上下肢の筋肉量を測定する。身長170㎝で上下肢の筋肉量が20㎏の場合SMIは、20kg÷(1.7m×1.7m)≒6.92kg/m2となる。男性であればカットオフ値以下となり、サルコペニアの診断となる恐れがある。
立ち上がり訓練ですから、主に下肢の筋肉量が増えたということになると思います。
サルコペニアを脱する1つの訓練として「立ち上がり」運動でも有効のようです。
本来筋肉量を増やすのは困難
骨格筋量増加には1RMの80%以上の強度で行う高強度トレーニングが必要である。
松尾 厚, 松藤 祐一郎, 川田 将之, 二次性サルコペニアを有する要介護高齢者に対する6ヵ月間のホームエクササイズの試み-反復起立運動の骨格筋量および身体機能に対する効果-, 理学療法 38巻 4号, 2021年
とにかく筋トレは全力の80%を出して重い物を持ち上げ続けないといけないということです。
もちろん、高齢者に対して高強度な筋トレをさせるのは非現実的です。
歩行との差別化
そこで注目されているのが「歩行」でありますが、梅雨だと外を歩けないですし、夏場は熱中症、冬は外気温室内気温の関連で脳卒中リスクが上がります。
特に感染症が流行すると外を歩けない時間が増えてしまい、「歩行」「散歩」によるサルコペニア予防が難しくなります。
室内で出来て、かつ疾患などにより歩行が難しい人にも有効なエクササイズとしてとても良いと思います。
立ち上がりと大腿四頭筋とFILS
立ち上がりの際、下肢の大腿四頭筋という筋肉が働きます。
立ち上がり訓練によって、大腿四頭筋の筋力トレーニングも期待できます。
大腿四頭筋の筋肉量が増えると、摂食嚥下評価の1つ「FILS」の評価も相関して上がっていったと研究結果が出ております。
これに関しては賛否両論があると思います。
ですが、STも運動という面に着目していった方が良いかもしれません。
立ち上がりはどうなのだろうかという疑問を持ち、PTさんと話し合いが出来るようになると良いですね!
下記の記事もご参考までに!
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
椅子からの立ち上がり訓練はサルコペニア予防だけではなく、嚥下訓練の1つとなり得る可能性が秘められています。
どんどん「下肢と嚥下」の関係が紐解かれていくと良いですね!それでは!
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