新人ST向け:発語失行のお話

失語関連
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●発語失行とは?

●鑑別方法

発語失行とは?

発語失行とは、麻痺性構音障害とも異なる構音運動の障害、すなわち、発語筋の麻痺がないにもかかわらず、構音の誤りプロソディーの異常を呈する症状を、構音運動企画の障害であるとして提唱した概念

谷 哲夫, 他2名, 純粋発語失行症例における構音の誤りとプロソディーの異常の分析, 日本失語症学会22(4) pp.280~291, 2002年

と言われています。

構音運動企画」というのが良くわからないですね……。

ここで「発話過程の模式図」を考えてみます。

motor programming(構音運動の企画)過程の障害を想定した

伊藤 元信, 発語失行と運動性失語, 音声言語医学

この論文によると

の過程を示し、「構音運動企画」は3つ目の部分になります。

発語失行の特徴

構音運動企画の部分で起こる構音の誤りプロソディーの異常が発語失行の特徴でした。

もう少し「臨床的」に見ていきます。

  • 誤りに一貫性がない
  • 長く話せば話すほど誤りが増える
  • エラーの種類は置換(子音)が多い

があります。

ここまでまとめると

・運動性構音障害を否定出来る(舌や口唇の麻痺がない)

・誤りに一貫性がなく、自発話や呼称、音読や復唱でも構音の誤りやプロソディ障害が出る

・子音の置換は多いが母音が置換することはほとんどない

失構音? アナルトリー? アフェミー? アフェミア?

臨床上、どれもほとんど同じ意味で使われています。

鑑別方法

運動性構音障害との見分け方

例えば、舌の麻痺がほとんどなくて「口唇」の麻痺だけが残存した運動(障害)性構音障害場合、口唇音である/w/,/b/,/p/,/m/に誤りが多く見られるはずです。

しっかりとその症状が認められるなら「発語失行」を否定できます。

音の誤り方も参考になります。

構音点の誤りは、運動性構音障害ではあまり出現しません。

森田 秋子, 春原 則子, 動画と音声で学ぶ失語症の症状とアプローチ, 三輪書店, 2017年

つまり/t/→/s/への置換はあっても、/t/→/p/への置換はほとんどないということです。

それがそこそこの頻度で出現するのであれば「発語失行」を疑うレベルになります。

伝導失語の見分け方

伝導失語は「流暢性」の失語。

非流暢が特徴である「発語失行」との鑑別なんて簡単!というわけではないです。

断片的な発話が多く、接近行為が頻発するような伝導失語の発話は非流暢に聞こえてしまうことがあります。

森田 秋子, 春原 則子, 動画と音声で学ぶ失語症の症状とアプローチ, 三輪書店, 2017年

自発話、音読、復唱のどの発話様式でも良いのでスムーズに表出できる自動的とは言えないある程度長い発話を探してみましょう。それが見つかれば発語失行を否定できます。

森田 秋子, 春原 則子, 動画と音声で学ぶ失語症の症状とアプローチ, 三輪書店, 2017年

自動的というのは「あいさつ」や「反射的発話」などが当てはなります。

これらのポイントをまとめておくと「発語失行」を否定して訓練立案やゴール設定を行えます。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

発語失行のみが主体の症状というのはなく、複雑に絡み合っているため、難しいですが、臨床上よく見ることが多いです。

発語失行についても知っておくと緊張が解けて自然に失語症者とコミュニケーションが取れることもあります。

苦手意識を持たず、コミュニケーションをお互い楽しめるようになると良いですね!

今回とってもお世話になったのでこちらをどうぞ!

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