把握反射とは
把握反射は、触覚性刺激や視覚性刺激等の外的刺激で出現し、手掌に物が触れるとそれを握り、随意的に離せず、医師的な抑制が効かないのが特徴である。
永井 亜希子 他3名, 強制把握のある利き手で食事摂取を可能とした1例, OTジャーナル Vol.55 No.3, pp.313-317, 三輪書店
原始反射の1つとして位置づけられ、脳卒中などの病気によって再出現することがあります。
今回引用させていただいた論文にも左脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)の診断が下されており、アルツハイマー型認知症、運動性失語もある右利き80代女性だそうです。
右手の麻痺が残存し、把握反射もある中で、どのようにして右手での食事摂取を実現したのか、是非とも論文をご参照いただきたい。
アルツハイマー型認知症+運動性失語
2つの病気のせいで、意思疎通面に大きなハンデを持っている可能性が高いです。
とはいえ「運動性失語」は指示理解に対して良好であることが多く「Yes-No」がしっかりとしている可能性があります。
しかし、2つの障害がある中で「意思的な抑制が効かない状態」であることの説明を行わなければなりません。
筆者は
- 「車椅子に乗る」といった指示は「身振り+言語(おそらく)」で理解可能
- しかしこと『把握』において「言語指示」+「模倣」でも抑制及び手を離す事が出来ない
- だが、折り紙を折る動作の時は握りこまずに折ることが出来た
→(ブルンストローム・ステージ 4~5であり、基本的に独立した運動が可能)
といった3つの視点で「把握反射」の評価を行っていました。
こういった視点と評価はとても大事ですので、是非ともSTさんにも知っておいて欲しいポイントと思います。
失語症+把握反射のある方の食事介助
食事が行えるかどうか、右手の食事時の介助を論文内では事細かく記載されておりました。
とても勉強になったのが「視線」です。
「常に視線を確認」して「次に食べたいと思うものを予測して介助をする」ことが書かれており、非常に高度な食事介助をされているなぁと思いました。
STの場合は「嚥下の瞬間」も見逃せないのでなかなか「患者様の視線」を忘れがちですが、とても重要なポイントなのは間違いありません。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
なかなかOTジャーナルなど触れる機会が少ないかもしれませんが、ぜひとも活用して臨床に活かしていただけると幸いです!それでは!
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