臨床メモ:失語症の方に復唱を促すことが出来たプチテクニック

臨床メモ
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失語症の方とのやり取りで、こんな経験はありませんか?

ST
ST

Aさん!
この絵カードに描かれているのは何ですか?(犬の絵カードを見せる)

Aさん
Aさん

あはは……。
えーっと、なんやろな?

ST
ST

これは……「い」

Aさん
Aさん

ん?
んーっと……あはは。

ST
ST

これは「犬」ですね?

Aさん
Aさん

あぁ、それな。
それやな。

ST
ST

声に出してみてください。
「犬」

Aさん
Aさん

え?
何ですか?

復唱すら促せない!

家族様から言語訓練を依頼され、スクリーニングとして呼称課題をやってみたらこんな感じでした。

これでは「呼称不可」と評価することしか出来ず、言語能力の向上へ繋げるビジョンが見えないですね。

解決策の1つ

そこでちょっとした小技を試してみます。

ST
ST

Aさん!
この絵カードに描かれているのは何ですか?(犬の絵カードを見せる)

Aさん
Aさん

あはは……。
えーっと、なんやろな?

ST
ST

イヌ」(相手にギリギリ聞こえる範囲の声量で提示する)

Aさん
Aさん

……犬。

と、いうようなことが起こりました。

「絵カード」(意味情報)+「小声」(音声情報)にて呼称(復唱)を促していくことが出来る可能性があります。

ポイントは「これは犬ですね?」のように ”これは” や ”ですね?” といった不要な情報をそぎ落とすことです。

加えて「ギリギリ聞き取れるレベル」での提示です。

小さい情報は聞き逃してしまうものですが【本人様が悩んでいる”答え”】であるため、聞き取りを促すことが出来ます。

そして聞き取れた情報が正しいかどうか、確認の意味を込めて言葉に出していると思われます。

この小技が使える環境として

  • 周りがうるさくないこと
  • 本人様の聴力が保たれている事
  • 状況理解(今言語訓練をしているということ理解する)力

などが上げられます。

小技2

うまく復唱出来た場合、次の小技も使えます。

それは「言語性即時記憶」の評価の時に役立つ小技です。

ST
ST

Aさん!
この絵カードに描かれているのは何ですか?(犬の絵カードを見せる)

Aさん
Aさん

あはは……。
えーっと、なんやろな?

ST
ST

イヌ」(相手にギリギリ聞こえる範囲の声量で提示する)

Aさん
Aさん

……犬。

ST
ST

え?

Aさん
Aさん

犬!

このように「聞き返す」ことでより「大きな声」を促すことが出来ますし、何よりも「言語性即時記憶」の促しが可能となります。

そして「聞き返すタイミング」をずらすことで本人様の記憶力の評価を行うことが可能です。

2回までなら聞き返しても不自然ではないと思います。

その2回の間に1~2秒、出来れば3秒空白時間を置いて聞き返すことで言語性即時記憶の評価および記憶保持の延長へとつなげていけます。

メリット

  • わずかでも言語能力の向上が期待できる
  • 記憶面でのアプローチに活用できる
  • 舌へのアプローチにも応用できる

わずかでも言語能力の向上が期待できる

呼称課題が不可、復唱も出来ない人という評価から、「復唱可能」へと評価が変わります。

「復唱能力が保たれている」という情報があればアプローチを他へ移行出来たり、復唱できる文字数、量が増えればそれだけ言語能力の向上とも取れます。

記憶面でのアプローチに活用できる

上記のように即時記憶へのアプローチが可能となります。

上記の例では失語症というよりも認知症かな?と疑いが持たれます。

そのため”記憶”の評価およびアプローチの方法があるといざという時に活用できると思われます。

舌および構音器官へのアプローチにも応用できる

実は一番効果として期待できるのはこれですね。

失語症・認知症となり「しゃべらなくなる」「舌を動かす機会が減る」ことで【発語に必要な器官が廃用となる】危険性があります。

そこを防ぐには「会話」「発語」が欠かせません。

上記の例を出すと、日常会話が成り立たないレベルであることは想像がつきます。

つまり、構音器官の廃用が起こる可能性が考えられます。

高次脳機能へのアプローチも大事ですが、発声発語器官の廃用による誤嚥性肺炎リスクも考慮すべきと思われます。

それを未然に防ぐことが可能ではないかと考えます。

デメリット

もちろんこの小技にもデメリットがあります。

  • ストレス→信頼関係が損なわれてしまう
  • どのようにホープとつなげるか

ストレス

言語課題というのは、かなりストレスが溜まりやすいです。

疲労という視点、そして「幼稚なことをさせられている」憤り、それすら答えられない自分への自己嫌悪に繋がる恐れがあります。

その点を考慮せず訓練を続けると信頼関係が損なわれてしまいます

本人様の疲労感やリハビリの受け入れ具合は常に確認しておくのが良いと思われます。

どのようにホープとつなげるか

言語訓練を希望されている場合「喋れるようになってほしい」というホープが根底にあると思います。

そのため復唱が出来たからといって「喋れるようになるか」は別問題となります。

復唱から意味へ繋げ、発語、自発話へと促すことは難しいと言われています。

小技は訓練ではなく課題や評価程度に留めておくというのも手です。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

臨床の小技が参考になれば幸いです。それでは!

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