新人ST向け:恐怖に対するリハビリの考え方

新人ST向け
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言語障害を抱える人の苦しみを理解するのは難しいです。

言語聴覚士(ST)になると、その苦しさに向き合わなくてはなりません。

私が担当させていただいている利用者様は、言語障害を抱えており、暮らしにくさを感じておられます。

苦しみから恐怖へ

歩行はある程度自立されている利用者様です。

日常生活で困ることはヘルパーさんに手伝ってもらいながら一人暮らしをされております。

しかし、脳の病気のせいで言葉がうまく話せず、途切れ途切れのようなしゃべり方になってしまう方でした。

そのため他者との会話が出来ず、不協和を生んでしまい、電話対応時では相手にうっとおしがられ、会話を途中で切り上げられてしまうことがあったそうです。

そのような経験をされていては「話をする楽しみ」が奪われてしまいます。

引きこもりがちになり、また話を聞いてもらえないのではないかと恐怖し、他者とのつながりを持とうとは思いません。

そうなってしまう前に対策が必要ですが、たいていは恐怖を抱いている場合が多いです。

そのため、STの方は慎重に言語評価・訓練を行わなくてはなりません。

STの考え方

恐怖を抱いている利用者様が求めているものとは一体何でしょうか?

私は3つあると思います。

・安心感
・期待感
・成功体験

安心感

言語治療となると、半年から1年程の長期的な治療となる可能性が高いです。

その間、ゆっくりと関係性を構築し「この人と話す時間が楽しい」といったり「この人ならしっかり話を聞いてくれる」といった安心感が必要です。

そして何よりもST自身が「会話を楽しむ」というのもあります。利用者様は言葉のしゃべりにくさを持っていますが、話すこと自体はお好きといった人は意外と多いです。そのため会話のネタに対してしっかり返答してくださることがあります。

重度では難しいですが「会話を楽しむ」ことが出来れば安心感や他にも「期待感」そして「成功体験」にもつながっていきます。

期待感

言語治療を行うことで話しにくさが改善し、今までのように話せるようになる期待を持たれている場合ですね。

なかなか改善へ持っていくのが難しいことや今までどおりに話せるようになることの困難さをうまく伝えられると良いですが、期待感が大きすぎる人とのやり取りは大変です。

まずは関係性をある程度構築し、今後のリハビリの計画を一緒に立てていきながら、安心感を少しでも得てもらい、3か月後などに改めて言語面でのアプローチの限界や環境調整に徹底するというのもも悪くないと思われます。

評価を急ぎても危険

この期待感に飲まれ、関係性構築前に、言語症状を隅々まで調べようと、評価を急ぎすぎてしまうと大変です。出来ない評価に対してかなり落ち込むことが予想されるからです。

「私はやっぱり出来ないんだ」となれば「出来るように頑張りましょう」という声がむなしく響くだけということになりかねません。

ゆっくりしすぎてもダラダラ時間が過ぎるだけになりかねませんが、焦ってもしかたありません。こればかりは本人様とのやり取りを重ねて少しずつスピードを加減していくしか方法はありません。これが俗にいう経験と思われます。

成功体験

これもまた難しいですが「成功体験を積んでもらう」というのがあります。

私の利用者様は「電話が出来ない」と過度に思い込んでおられましたが、こちらが話を急かさずゆっくり傾聴するのみで意外とすぐに「電話が出来る」状態に持っていけました。まだ私と電話対応しただけですが、成功体験をまず積んでもらい、前向きになってもらうことは大事だと思い、本人様に無理のない範囲で行ってもらいました。

本人様にとって、もしかしたらかなり苦痛だったのかもしれませんが「やってみます」と言ってくださったのは本人様の「安心感」と「期待感」に答えられたからなのかなと思います。その2つ+成功体験を積むことは大事なのだと改めて思います。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

日々言語治療に携わるSTの方には頭が上がりません。

新人の言語聴覚士の方には是非とも頑張ってほしいと思います。この考え方が何かのお役に立てば幸いです。それでは!

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