言語聴覚士(ST)特に新人さんは「解剖学における運動の用語」に慣れていません。
しかし、STにも解剖学における運動の用語について慣れておくとカルテを書くときに役立ちます。
例えば、「回旋」という用語があります。

特にSTは「頸部の右or左回旋」といった表現でカルテに記載する場合が多いです。
「回旋」は「横向き嚥下」の時の説明に記載することが多いですね。
【横向き嚥下】は脳卒中などで片麻痺となった患者様に対して、麻痺側ではない側に食塊を通す方法のことです。
実際、他の言い方で”頸部回旋法”とも呼ばれていますしね。
用語について
側屈
その他にも「側屈」があります。

首を横に傾けている動きですね。
首の体操の時に動かしますね。
どちらか傾けた時に痛みがあった場合、カルテに記載することがあります。
書き方としては「右or左側屈時 痛みあり」と記します。
痛みがあるためそちらに動かす際は注意が必要ですし、理学療法士さんと連携して対策をとったりできるようになります。
常時どちらかに傾いていると食べ物が傾いた側に残りやすく誤嚥リスクも伴います。
側屈+口腔内の観察として見逃さない方が良いと思われます。
屈曲/前屈
一番大切なのが「屈曲」ですね。
「前屈」とも呼ばれています。ほぼ同じ意味ですね。

カルテの記載例として「頸部を屈曲させて嚥下を促す」などが上げられます。
【顎引き嚥下】とも呼ばれる手法で、安全に嚥下を促すことを目的としています。
伸展/後屈
「頸部の伸展」も嚥下に関わってきます。
同じ意味で「後屈」とも呼びます。

頸部が伸展してしまうと、喉頭の挙上量が増えてしまい、嚥下困難感や喉頭蓋反転が不十分・嚥下圧低下となり誤嚥のリスクが跳ね上がります。
カルテ記載の時は「常時頸部伸展」と書き入れることがあります。
観察で書くのであれば「SOPA形式」の「O」の欄だったりします。
角度がわかる際はだいたいどのくらいかも書いていると親切ですね。
屈曲/伸展の角度
基本は座位姿勢で測定します。
肩峰から床にかけて垂直におろした線を軸とします。
そこから「耳孔」と「頭頂」を結んだ線が前か後かで判断します。

角度は肩峰からの垂直線と頭頂と耳孔を結ぶ線との交差点で計ります。

そうして測った角度をカルテに記載しておきます。
「SOAP」形式であれば「O」の欄に『頸部屈曲約30°の姿勢で嚥下訓練実施』
「A」欄で『ムセが無くなったため頸部屈曲30度はこの方にとって嚥下しやすい姿勢と思われる』と書けるわけですね。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
頸部の角度などは臨床では結構重要になったりしますので、よければ参考にしていただけると幸いです。それでは!
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