前回の記事はこちら!

呼吸の評価に悩む!
介入の際どうしたらいいかわからない!
誤嚥性肺炎を予防するためのポイントを知りたい!
そんな方々のために考案されたのが「呼吸アセスメントツール」です。
ケアの方針もわかる「呼吸アセスメントツール」
患者様の状態を把握するためのアセスメント項目であり、その項目から「ケアの方針」もある程度決められることが可能となります。
では実際にアセスメント項目とケアの方針はどのように決まっているのでしょうか?
構成要素とアセスメント項目
構成要素
構成要素は4つに分かれています。
- 十分な気道浄化
- 咳嗽力/換気能力
- 活動量の増加
- ケアの継続性
となります。
この4つに小項目である「アセスメント項目」が付随していきます。
今回は『咳嗽力/換気能力』に関わる「アセスメント項目」についてお伝えします。
咳嗽力/換気能力
アセスメント項目は
- 咳嗽力
- 呼吸パターン
- 深呼吸
- 腹筋力
- 胸郭拡張
- 頸部体幹の筋緊張
- 最長呼気持続時間
- 最長発声持続時間
の8つになります。
咳嗽力で見るべきポイント

咳嗽力って何を見ていけばいいのかな?
咳嗽ができない
咳嗽するが咽頭まで痰を移動できない
咳嗽により咽頭まで痰を移動できる
咳嗽により自力で口外まで喀出できる
藤田 淳子,石垣 和子: 在宅脳血管障害者の誤嚥性肺炎予防ケア のための呼吸アセスメントツールの開発 ―第報 アセスメントツールの作成とその試行―: 日本看護科学学会: 日本看護科学会誌: Vol. 12, No. 2, pp 4-13, 2013
上記のような点を見ていきます。

上記の点に加えて「痰がゴロゴロしてそうな音」湿性音があるかどうかのチェックも大事ですね。
呼吸パターンとは?
1分間の呼吸を観察し、深い呼吸をゆっくりしているのか、浅い呼吸を頻回にしているのか、呼吸のリズムは一定なのかをチェックします。
深呼吸/腹直筋
「深呼吸をしてください」と伝えて、出来なければほとんど動きがないと評価できます。
深く息を吸った時にお腹がしっかりと動いているかの確認も大切です。
頸部体幹の筋緊張
これは触診しないとわからないのですが、首には「斜角筋」と呼ばれる筋肉があり、努力性の呼吸時に強く緊張します。

こちらもご参考になれば幸いです!
ここを触って、吸気時に強く緊張が見られた場合は「努力性の呼吸」と評価します。
最長発声持続時間と最長呼気持続時間
その名の通りとなります。
長く声を出す事と長く息を吐き続けることが出来るかを見ます。
およそ10秒以上が目安となります。
これらを切っていると呼吸能力の低下と言われる可能性があります。
ケアの方針
呼吸・咳嗽法の指導訓練により咳嗽力の向上を図る
訓練により換気能力をあげる
緊張の強い呼吸筋等のリラクセーションを図る
自動運動や姿勢により胸郭拡張を図る
他動的に胸郭拡張を図る
体を動かし換気の機会を増やす
藤田 淳子,石垣 和子: 在宅脳血管障害者の誤嚥性肺炎予防ケア のための呼吸アセスメントツールの開発 ―第報 アセスメントツールの作成とその試行―: 日本看護科学学会: 日本看護科学会誌: Vol. 12, No. 2, pp 4-13, 2013
といったケアの方針が立てられます。

全体的に呼吸ケアは熟練度が物を言うので日々胸郭を触るくらいの気持ちでいないと効果は薄いと思われます。
それよりかは咳嗽力を促すための声かけや体を動かし換気機会が出来るまでの回復を待つのも手だと思います。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
特に何か特別な機器を必要とせず簡便に見ることが出来るのでとても重宝する情報だと思います。
これが臨床で何かのお役に立てれば何よりです。それでは!
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