
患者様の予後予測が難しい……。
特に脳卒中はどういう風に回復していくか見当もつかない。
みんなどうやって予後予測をしているのだろうか?

確かに。
何がどうなっていくのか想像がつく方がリハビリ効果を実感しやすかったり、目標を掲げる上での指標となるので大切ですね。
論文として「予後予測」として重要なポイントとは何でしょうか?
脳卒中の予後予測は様々
- 年齢
- 基礎疾患
- 脳の障害範囲
- 高次脳機能障害の有無
予後を予測する上での指標となりそうなポイントは上げてみるとたくさんありそうです。
が、今回、着目するポイントはFIMとなります。
日常ADLの点数として多くの病院で採用されているFIMに関して着目し、FIMの点数がどうなると予後がどうなのか見ていきましょう。
脳卒中でも家に帰れるのか?
とある研究1)にて発症から2週間、急性期の段階でのFIMの点数が「運動FIMが50点より上の人」を対象に歩行が可能かどうかを判定したところ、40症例中38症例が歩行獲得が出来たとのことです。
そこに加えて8割の方が自宅へ退院出来たとの報告もされています。
運動項目は全部で13個あるので平均4点程あると50点以上となります。
おおよそ中等度介助でだいたいの運動が可能となるレベルですね。
発症から2週間である程度動ける人であれば、回復の見込みが立てるということです。その指標としてFIMの運動点数が参考になっております。
発症2週間後のFIMと退院後FIMの点数利得
急性期病院は、自宅か施設か回復期病院か、数週間で退院されます。
その退院時のFIMの点数と、発症2週間時点でのFIM点数利得について研究もされています。
FIMの利得が15点以上もある群と14点以下の群を比較したところ、15点以上回復した群は、軒並み「認知FIM」が14点以下の群よりも高かったとのことです。
15点以上FIMの点数が上がった群の認知FIMの点数は「24.2点」。
認知FIMの項目が5つなので平均約5点ということになり、軽介助~見守りレベルとなりますね。
認知FIM高得点者は概してリハ意欲や回復への意志が強く、また、記憶が良好であることからも運動学習の効果が得られやすいと考えられる。
寺坂 晋作, 竹原 康浩, 高畠 靖志, 宇野 英一, 土屋 良武, 林 浩嗣, 山村 修, 青竹 康雄: 急性期脳卒中患者のfunctional independence measure (FIM) を用いた予後予測: 脳卒中 29 巻 6号 (2007)
などですね。
運動への指示を理解でき、自分の意志を表出でき、社会的交流や問題解決が可能で、記憶も良好な場合、リハビリの効果を十分発揮することが可能となるわけですね。
STであれば、失語症といった高次脳機能障害を持つ方と関わる機会が多いと思います。しっかりと運動リハの効果が出るように理解や表出面でのFIMが上がる工夫が出来ると、自宅への退院が可能となるかもしれませんね!
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
1)(発症から)2週時の運動FIMが50以上であれば、高い能力を獲得し、自宅復帰率も高値に至ることが示された。
2)2週時運動FIMが50未満であっても認知FIMが高ければ、その後の高いADLや歩行を獲得する可能性があることが示された。
3)認知FIMの低い症例については、今後更なる解析が必要と考えられた。
寺坂 晋作, 竹原 康浩, 高畠 靖志, 宇野 英一, 土屋 良武, 林 浩嗣, 山村 修, 青竹 康雄: 急性期脳卒中患者のfunctional independence measure (FIM) を用いた予後予測: 脳卒中 29 巻 6号 (2007)
ということですね。
高次脳を持ってしまうと、それだけ認知FIMが下がる恐れがあります。
認知FIMの問題は様々な場面で介助が必要となるかどうかが焦点となります。
まずは、病院生活内やリハビリ内で介助量が軽減できる取り組みを提供できるようになると良いですね!それでは!
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