経管栄養と聞いて、皆様どう思われるでしょうか?
無理やり生かされている、延命として認識される「経鼻経管栄養」ですが、ついつい悪いところばかりに目を向けてしまいがちで、良いところには気づきにくいです。
そんな「経鼻経管栄養」についてのお話です。
経鼻経管栄養とは?
経鼻経管栄養とは、体を健康に維持するために必要なもの「糖質」「タンパク質」「脂質」「ミネラル」「ビタミン」などなどたくさん配合された栄養ドリンク(流動食)を鼻から胃へ管を通して流し込むことを言います。
『経鼻栄養』というのは「鼻」から胃まで管を入れてその管を通して栄養を流しこみます。
『胃ろう』は胃に直接穴をあけてその穴から栄養を流し込みます。
どちらも総称して【経管栄養】と呼びます。
経管栄養の利点
腸をしっかり動かせる
栄養が胃に行き、胃に入ってきた栄養は腸へ行きます。
腸に栄養が入ることで3つの良いことがあります。
以下の通りです。
1つずつ見ていきたいと思います。
腸管粘膜の萎縮予防
経管栄養をお勧めする一番の理由はこれです。
【腸管粘膜が小さくならないように防ぎます】
点滴のみで栄養を補給していると、腸の働きは少なくなってしまいます。
腸で吸収した栄養素を血管に送るのではなく、点滴から血管へ直接栄養が届いてしまうからです。
腸での消化吸収の過程がなくなってしまいます。
そうなると腸管がどんどんと痩せ細ってしまいます。
こうなってしまっては、たくさん食べても栄養を吸収しきれず腸を悪くなってしまい、栄養が入りにくくなるばかりではなく、腸の病気になる恐れもあります。
その1つが「腸内細菌の移動」によっておこる病気です。
腸内細菌の移動を防ぐ
腸内に栄養が送られず、消化吸収の働きが抑制されてしまうと、どんどん腸内の粘膜はモロくなってしまいます。2)
そうなると、腸内に存在する菌が腸内から出てしまい、体内の様々なところで増殖を起こします。
そうなってしまうと菌は瞬く間に増え続けてしまい、多臓器不全などの病気を誘発してしまう恐れが高いです。
そういった病気を未然に防ぐためにも腸内環境を良くしておくことが大切です。
消化管ホルモンの分泌刺激
胃や腸にも様々なホルモンは関わってくるため「胃」「腸」の働きはとても大きいです。
ホルモンは人間の体調をコントロールする上でとても重要だからです。

まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
経管栄養というととてもネガティブな発想になりがちですが、それだけではないですし、必ずしも一生管が取れないというわけでもないので、悩まれている方は専門家、病院、医師に相談してみてはいかがでしょうか。それでは!
参考文献
1) 編集 井上善文 他: 経腸栄養剤の種類と選択 フジメディカル出版 2005 p9-15
2)大曽根康夫 小花光夫 小井戸則彦 秋月哲史 松岡康夫 小林芳夫 健康な成人に発症しbacterial translocationの関与が想定された敗血症の1例 感染症学雑誌 第78巻 第 3 号 2004年
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