新人ST向け:頸部屈曲は嚥下に効果があるか?

新人ST向け
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・とある論文によると効果はあまり期待出来ない

・筋の長さと張力の関係で嚥下筋が活動不良

・頸部伸展(上を向いて)時の嚥下が不良

頸部屈曲位は嚥下に有効か?

いやいやいや。

有効でないと困るでしょ。

今まで私は何をしてきたんだろうか……。

ってなりますよ!

それが……。

とある研究によると、正中位と屈曲位の筋活動に差が見られなかったという結果が出ているそうです。

舌骨上筋群、舌骨下筋群においては、正中位と屈曲20°、40°との間に有意差を認めなかった。

乾 亮介, 森 清子, 中島 敏貴, 李 華良, 西守 隆, 田平 一行: 頸部角度変化が嚥下時の嚥下筋および頸部筋の筋活動に与える影響 ―表面筋電図による検討―: 日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌  16 巻 3 号 p. 269-275: 2012年

こちらの研究は健常者が対象のため、高齢者とはまた違った結果になる恐れもあります。加えて19名という人数ですのでその辺りも判断が難しいですね。

顎下~鎖骨中央3横指とは何だったのか……。

私は頸部屈曲位がまったく無意味だとは思いません。

咽頭腔の形状が変わったり、頭部屈曲が難しい人に対して代償的に行うのであれば効果が期待できると考えますし、実際の臨床で頸部も屈曲したほうが飲み込みやすいと訴える患者様も多いです。

まさに人によると言わざるを得ない感じですね。

上記の論文では「頸部の伸展」は嚥下困難感が強いというわけなので、出来る限り頸部の伸展を防ぐポジショニングが必要なのだそうです。

で、上記の論文で引っかかったポイントがあります。

頸部屈曲位をとることで、舌骨・甲状軟骨の移動距離は短くなる反面、嚥下筋である舌骨上筋群・舌骨下筋群が短縮位をとるため、筋の長さ―張力曲線の関係から張力が低下し、筋収縮効率が低下したことが考えられる。

その結果、正中位と比較しても、有意な持続時間の短縮が起きなかったことが考えられる。

乾 亮介, 森 清子, 中島 敏貴, 李 華良, 西守 隆, 田平 一行: 頸部角度変化が嚥下時の嚥下筋および頸部筋の筋活動に与える影響 ―表面筋電図による検討―: 日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌  16 巻 3 号 p. 269-275: 2012年

有意な時間の短縮が見られた場合、筋肉に負担がかかりにくく、嚥下がしやすくなるはずです。

しかし、それが見られなかったとのことです。

理由に筋の長さ―張力曲線が挙げられています。

『舌骨・甲状軟骨の移動距離は短くなる反面、嚥下筋である舌骨上筋群・舌骨下筋群が短縮位をとる』これはなんとなくわかります。

頸部が屈曲することで舌骨上筋群・舌骨下筋群の起始停止部が近づくのです。

結果、筋が短縮位を取ります。

では張力とは何?ってなりますね。

これを理解するために筋をゴムに例えてみます。

ゴムはしっかり伸びきっている状態だからこそ、元に戻ろうとして強い力が働きますね。しかし、あまりゴムが伸びなかったら……元には戻りますが強い力は起こりません。

嚥下には嚥下筋の強い力を必要とします。

元に戻るだけの力なら良いのですが、食塊を食道に送り込む必要があります。強い力が必要なので、ある程度筋が伸びて縮む力を発揮する長さが必要となります。

しかし、筋が最も力を発揮する長さに到達しなかったら……筋は力を発揮出来ません。

なので、筋肉は短すぎても伸びすぎていても良くないのです。

これが、『舌骨・甲状軟骨の移動距離は短くなる反面、嚥下筋である舌骨上筋群・舌骨下筋群が短縮位をとるため、筋の長さ―張力曲線の関係から張力が低下し、筋収縮効率が低下した』の意味になると考えます。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

STは筋の張力といった話にピンとこないので難しい(アクチンとかミオシンの話になるとより難しいです)ですね。

ATPの話になるとより意味不明になります……。しかし栄養学では必要な知識となりますので、ゆっくりでいいのでマスター出来ると良いですね!それでは!

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