食事は栄養の摂取に留まらず、楽しく食べられる「幸福感」とおいしく食べられる「満足感」を得られるため、QOLと直結します。
では食事介助はというと、自力で食べれず、他者に助けてもらいながら食べるため「楽しさ」は少なく、自分のペースで食べれないという「不満感」を募らせます。
そこに『悪い食事介助』が加わると「食事の楽しさ」は減り「食事の不満感」が溜まります。
それだけにとどまらず「誤嚥」「窒息」などの危険にさらされることもあるのです。
この記事では『悪い食事介助』についてのお話と、それをしてしまっている「介護職さん」「看護師さん」へどのような声かけをすれば角が立たずに改善出来るかについてお伝えします。
よくある『悪い食事介助』
立ったまま食事介助をする
看護師さんや介護士さんがたまに『食事介助』を立ったまましていることはありませんか?
これはとても危険な『食事介助』なんです。
なぜかというと、患者様は無意識的に介助者の顔や持っているお椀、スプーンを見てしまいます。
その時、上を向いてしまうのです。
上を向いたまま嚥下をするのは非常に危険です。
我々でも、水を口に含んだまま、限界まで上を向いた状態で飲み込むのは相当しんどいですし、下手をすれば誤嚥してムセてしまいます。
これは本にも書かれており、大変危険な介助方法なのです。
介助者を見上げ、頸部は伸展している。咽頭残留が多い高齢者は、このとき誤嚥しやすい
小山 珠美, 口から食べる幸せをサポートする包括的スキル 第2版: KTバランスチャートの活用と支援, 医学書院, 2017年
なぜ立ったまましてしまうのか
病院のベットは高さを高くすることが出来るので、立ったままでも目線が真っすぐ合うことが出来ます。
しかし、いちいちベットの高さを調整したりするのは大変ですね。
看護師さん、介護士さんは、毎日多忙です。
それは、ベットを調整する時間すら惜しいほどです。
座って食事介助をしてもらう際は「椅子を用意してもらう」のも手間です。
ですが、患者様の安全と楽しい食事提供のため、時間を作ってもらう必要があります。
声かけのポイントは「介助者本人にも楽であること」
椅子に座って食事介助をすれば、本人も楽です。
そのことを伝えるだけでも手間を惜しんでしてくれることがあります。
「誤嚥リスクが減ること」
- 「介助者が立っていると、患者様は上を向いてしまう事」
- 「上を向いたままの嚥下は難しいこと」
についてさらっと説明できるようになると良いですね。
立ったまま介助している人に向けて椅子を持っていき、「立ったままはしんどいと思うのでどうぞ」
と言い、遠慮されたとしても「患者様の誤嚥リスクが減るので」と2段構えで説得すれば、座って介助してもらうことが出来ると思います。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
他職種との連携が必要な時代ですが、ちょっとした声かけの仕方で印象がずいぶんと変わってしまいます。
なるべく穏便に済ましたい。けれども角が立つかもしれないと思うと言いづらいという人に参考となれば幸いです。それでは!
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