
嚥下不良の患者様。
転院してきてすぐに疾患リハの期限が来てしまうから、継続理由書を書かないといけない。
けれどSTが書く評価はなかなか数値化できず、良くなったとは言いづらい。
何かいい書きやすくなる手段はないかなぁ?

継続理由しかり、報告書しかり、数値で評価できるとより訓練の効果が目に見えて書きやすいですね。
AMSD(標準ディサースリア検査)の項目0~4も頼りになる評価バッテリーですが、他の視点としてKTバランスチャートも活用できますよ!
KTバランスチャートとは?
筆者らは、口から食べ続けるための共通言語としての包括的支援ツールが必要と考え、“口から食べるバランスチャート(KTバランス チャートⓇまたは KTBCⓇ;Kuchikara Taberu Balance Chart)”を開発した。
小山珠美: 多職種・包括的サポートで患者・家族の「食べたい」を叶える: 在宅新療0-100 2 ⑻:682-683,2017, へるす出版
KTバランスチャートは経口摂取の獲得、または最期まで経口摂取を継続していくために作成された評価ツールと言われています。
この評価では13項目あります。
- 食べる意欲
- 全身状態
- 呼吸状態
- 口腔状態
- 認知機能(食事中)
- 咀嚼・送り込み
- 嚥下
- 姿勢・耐久力
- 食事動作
- 活動
- 摂食状況レベル
- 食物形態
- 栄養

お、多い……。

包括アプローチは伊達ではありません!!
STは口腔や嚥下のみに着目しがちですが、その他にも着目すべき点がたくさんあるということですね。
この評価を用いて点数を1~5点で付けていきます。
活用例

3つ目の評価項目「呼吸状態」のページを見ていきます!
なぜ「呼吸状態」を選択するかというと、生きている以上必ず「呼吸」はしているので、報告書に「呼吸の評価」が書けるからですね。
評価1:絶えず痰貯留があり、1日10回以上の吸引が必要
小山 珠美, 口から食べる幸せをサポートする包括的スキル 第2版: KTバランスチャートの活用と支援, 医学書院, 2017年
評価2:痰貯留があり、1日5-9回の吸引が必要
評価3:痰貯留があり、1日5回未満の吸引が必要
評価4:痰貯留があり、自力で喀出が可能
評価5:痰貯留や湿性嗄声がない
とあります。
つまり、痰の吸引回数や湿性嗄声の有無が重要となります。

なんとなく、頻回な吸引をされているとカテーテルの刺激や痰貯留により咽頭感覚が低下してそうですし。出来るだけ吸引なんて無い方が苦痛もないので自己喀痰出来るよう介入出来るといいですね。

継続理由書などの機能評価欄には
1日の吸引回数:約〇回
湿性嗄声(-)or(+)
自力喀痰(-)or(+)
文章で記載時は「リハビリ実施により呼吸状態が改善し先月と比べ吸引回数が〇回まで減っております。」
といった風に書けそうですね!
では「痰や湿性嗄声」以外に観察ポイントはないのでしょうか?
いいえそんなことはありません。
呼吸にはたくさん見るべきポイントがあります。
下記の教科書では11種の観察ポイントを図や写真で詳しく記載がされています。
カラーで読みやすいのでとってもおススメです!
ただし、文字数が多くて文字が小さいのでご注意ください。
この情報量でこの値段ですから、すごくコストパフォーマンスが良いですね~!
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
KTバランスチャートについてもう少し詳しく記載している記事もあるのでこちらの方もご参照いただければ幸いです。
日々の臨床で少しでもお役に立てば何よりです。それでは!
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