腹式呼吸を促す利点
誤嚥性肺炎の予防
腹式呼吸を促す利点として誤嚥性肺炎を予防することが期待出来るという点です。
1番の魅力として、腹式呼吸が出来ることで吸気量が増大し、咳嗽力向上の可能性があります。
腹式呼吸が出来るからと言って必ず咳嗽力が上がるとは限りません。
声帯閉鎖が不十分だと腹圧がかけれないですからね。
ただ、もう一つ魅力があります。
それは呼吸の安定による嚥下の安定性向上です。
胸式呼吸の負担を減らすことで呼吸を安定させ、嚥下を阻害する要因を減らすことが期待できます。
胸式呼吸が軽減し、胸郭に柔軟性が戻ってくると喉頭挙上を阻害する舌骨下筋群の影響を取り除ける
声量が上がる
声帯の病変が無ければ、腹式呼吸による吸気量増大からの、声量増大へつながる可能性があります。
大きな声を出せるようになれば、人との会話もしやすくなります。
腹式呼吸を促す方法
深呼吸を促したりすることが出来る人は良いのですが、認知症の人にはなかなか指示が入らず、効果的な腹式呼吸を促しづらいです。
そこで自然な「腹式呼吸」を促す方法として運動である「歩行」そして「風車」をおススメします。
「歩行」は運動する時には酸素が必要となるため、自然と大きく息を吸うことを促せます。
「風車」は「吹き戻し」や「ブローイング」と比べて親しみのあるおもちゃで、認知症の人にも理解を得やすく自然な呼気を促すことが出来ます。
長く吹こうとすれば、大きく息を吸うので、自然と腹式呼吸を促すことが可能となります。
この風車を推す理由としては
です。
覚醒が良ければ、臥位やギャッジアップ座位でも可能です。
出来るだけ、横隔膜が下がりやすくなる方が息も吸いやすいです。
内臓が横隔膜を阻害する恐れがあるからですね。
そのため、重力で内臓が下に下がりやすくなる姿勢の方が息がしやすくなる場合もあります。
腹式呼吸を促す際であれば、臥位よりもリクライニング座位、リクライニング座位よりも車椅子の方が良いです。
そして、腹式呼吸を促す場合は「呼気時に外部から腹圧を少しかけて、息を吹ききる方が強い吸気を促せます。」
なので、テクニックの1つとして風車を回している間少し腹部を触らせてもらい、軽く押すこともあります。
消化器疾患や、腹部大動脈瘤といった、腹圧をかけない方が良い場合はその限りではないので、しっかりと既往歴の確認をしておきましょう。
また、吸気を促すということは口腔咽頭に貯留している唾液や痰を誤嚥する恐れもあるのでその辺りの注意をすることも大切です。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
腹式呼吸を促す際はぜひとも「風車」を活用していただければと思います。
この情報が臨床などで活かせてもらえれば幸いです。それでは!
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