
のどのアイスマッサージが怖いです。
氷が解けて、水になると、誤嚥する恐れがあるのではないでしょうか?

その通りだね。
だから素早く咽頭の「前口蓋弓」という所を刺激するんだ。

刺激……ですか。

のどのアイスマッサージを研究した「Logemann」さんは【温度・水】そして『圧』という3つの要素を大事にしたそうだよ。
思いっきり押すのは問題だけど、嘔吐反射が起きない程度の刺激は大切ですね。

え~っと、前口蓋弓は……。
のどのアイスマッサージを刺激する部位


教科書によっては、「咽頭後壁」への刺激も言われていますが、脳血管疾患などで感覚が低下している人でもない限り、嘔吐反射の好発部位であるため、かなり注意が必要です。
まずは、「前口蓋弓」での圧刺激などで様子を見てから行っていきましょう。

反射がなかなか出ずに誤嚥してムセてしまったらどうしよう……。

確かに、そうなってしまうと怖いよね。
その可能性はあるには、あるんだけど……。
なんとかそれを回避する方法はあります!

そ……それは!?

3ml(3cc)までなら大丈夫!

3ml(3cc)までなら大丈夫?
3ml(3cc)の理由
改訂版水飲みテスト(MWST)は「3ml」の冷水をシリンジに入れて、口腔底に注ぎ嚥下を促すスクリーニングテストです。
この「3ml」の理由は「食道入口部にある梨状窩」という部分の体積と同じなのです。

この図は、嚥下内視鏡検査でよく見る「咽頭を上から見た図」になります。
下側のピンク部分が「舌」で濃いピンクが「喉頭蓋」となります。
緑の部分は「喉頭」で、奥に声帯や披裂軟骨などがあります。
その両脇、水色の部分が「梨状窩」および「梨状陥凹」と呼ばれる部分です。
この部分は「食道の入口」です。
食道は常に閉められていて、ちょうどホースの先を閉じたみたいな形をしています。
ホースの先をつぶすと口がハの字になりますね?そのハの字になったくぼみ部分を「梨状窩」と言います。
この「梨状窩」に溜まる体積が「3ml」と言われています。
うまくいけば、この「梨状窩」に冷水が溜まり、誤嚥せずに済むというお話です。
アイスマッサージも氷舐め訓練も3mlまでなら大丈夫
とはいえ、氷舐め訓練は「唾液」の分泌も促してしまうため、3mlの氷ですら危険な可能性もあります。
ある程度食事が出来ていて、嚥下反射が出ており、さらに嚥下反射の改善を目的として、氷舐め訓練は可能であると思います。
特に認知症の重度な高齢者でも「アイスキャンディー」と伝えると好意的に受け取ってくださいます。
味がないのでそこは誤魔化したりしますが(糖尿病だから薄味ですetc)嚥下反射促通としては氷舐め訓練もおススメです。
何よりも窒息のリスクが少ないのが魅力ですね。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
厳密な3mlのアイス棒を作るのは大変ですし、3ml以上溶けちゃった~というのは感覚としてわかりにくいので、3mlまでは大丈夫という気持ちを持つことや、「アイスマッサージ」にて嚥下反射の促通を促し、スクリーニングを通して嚥下能力を随時評価していってほしいと思います。
それでは!
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