先日後輩からこんな質問をいただきました。

骨折で入院中のおじいちゃん。
入院中は看護師さんの制止を聞かず、車椅子から立とうとしたり、歩こうとしたりで大変。
認知症もあるだろうけれど、注意しても立ってしまったりするのは「脱抑制ですか?」って実習生に質問されてしまいうまく答えられなくてもやもやしてしまった。実際はどうなのだろうか?

そのシーンだけではなんとも言えないですねぇ……。
上記の例で考えられる可能性
1つのシーンから何が問題点なのかを色々考えていくのは大切ですね。
そして、反例を考えその選択肢を狭めていき、理由を選定していくことが大事です。
さらには、様々なシーンから患者様が一番障害となる問題点を評価していきます。

今回であれば、シーン「入院中、看護師さんの制止を聞かず、車椅子から立とうとしたり、歩こうとしたりする。」ですね。
ここで考えられる理由、つまり制止しても聞かない理由ですね。
例えば……
- 脱抑制
- 病識の欠如
- 見当識障害
- 記憶障害
- 言語理解低下
といった可能性があります。
反例について考える
様々なシーンを見ていき、様々な理由を考え評価していくにあたり、反例についても見て行けるとより問題点の説得力が上がります。
例えば、「言語理解低下」についての反例は簡単ですね。
会話をすればいいのです。
会話がうまく成立するシーンをたくさん用意出来れば、「言語理解低下」が問題点となりにくくなります。
では「記憶障害」および「認知症」を否定するには?
認知症などは脳画像データがあると否定しやすいですね。
・脳の萎縮
・海馬の萎縮
他にも確定診断の有無やスクリーニングテストなどが上げられますね。
これらの情報がないのであれば、認知症を否定することも可能かもしれません。
記憶面も「即時再生」「遅延再生」などの項目もあるのでそこの評価も出来ると良いですね。
やはり、「記憶障害」が根本にあると制止されたことを忘れてしまっていることがあります。
そうなると「脱抑制である」と第一の問題点と挙げるのは少し無理があり、『記憶障害』が第一に挙げられますね。
「ある程度記憶障害を除外出来て、それでも脱抑制のような場面が認められる」時に脱抑制の可能性が浮上するでしょう。
見当識の欠如や病識について記憶を整理してもらい、確認をとります。
病識など一度否定していても、興奮しているときはうまく答えられないといったケースもあります。
そうなると、せん妄などの理由が出てくるのでそこも他のシーンから問題点として抽出するかを考えていきましょう。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
高次脳に関するお話は難しいですが、実習生さんへ納得できるように後輩が話せることを祈っております。
これらのお話が少しでもお役に立てば何よりです。それでは!
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