施設や病院の患者様は、認知症やせん妄によって精神状態が不安定になりやすいです。
そんな中困る内容として「帰宅願望」「食事拒否」があると思います。
- 「家で食べるからご飯いらん」
- 「お金持ってないからいらん」
- 「どこやここは!帰らせてくれ」
などなど様々な不穏症状がありますね。
そんな時にどう対応するのがベストでしょうか?
対応を考えるために、状況を分析し、合った声かけが大切だと思います。
このページで大事にしていること
→状況を分析すること
→分析に応じた声掛け
状況を分析すること
本人様の状況を分析していきましょう。
情報を確認する
こういった点を確認できると良いですね。
また、すでに対応された看護師の方とうまくいったパターンについて情報共有するのも良いかもしれません。
教えてもらったり、逆にこういうと落ち着きますという情報を提示するのも大切です。
精神状況をプチ分析
開口一番に治療を拒否されるのか、はじめは穏やかなのかを見ていきます。
初めから興奮状態で暴力などが認められる場合はドクターと相談して薬の投与といった選択になるかもしれません。
その次に問題なのが「落ち着ていたのに急に不穏となる」人だと思います。
そういう人に限って「穏やかな時は病状説明を聞いてくれたのに不穏となったら何も聞き入れてくれない」状態となりやすいです。
穏やかな時は「病気になっちゃったからね」と言っていたにも関わらず不穏となれば「私はどこも悪くない!」とおっしゃられます。
そういった方の帰宅願望の対応として
- 「帰る間にトラブルがあったことを伝える」
- 「途中までは一緒に行く」
- 「ここに居るメリットを伝える」
などがあります。
「帰る間にトラブルが起こったこと」「途中までは一緒に行く」として仮のタクシー乗り場やバス停を作りそこで待つといった方法があります。
その後「そろそろ暗くなってきましたね」「明日また待ってみましょう」と言って病室に誘導するパターンですね。
実際に行うにはハードルが高いです。
特に病院では外来があるため入院患者が1階に降りて外来患者と一緒になるのを避ける傾向にあります。施設では1人の利用者様に対して時間も取りづらいですね。
他の方法として「ここに居るメリット」を伝えるというものです。
- 「もうすぐご飯が来ます」
- 「もうすぐ家族さんが来ます」
といった声かけですね。
しかしこの言葉は嘘になりやすいため、多用は出来ないですし、記憶力のある人には「いつ来るんだ!?」と逆上しやすく逆効果となりやすいです。
この声掛けを行う前に事前に記憶力の評価などが大事ですね。
様々な対応方法がある中で一番大切なのは「傾聴」です。
「傾聴」:患者様の話を聞くということですね。

いやいや、患者の話なんて支離滅裂で意味不明、聞いてもよくわからないよ。
そう仰られる人も少なくないと思います。ここでうまくいった事例をご紹介します。
傾聴によってうまくいったミニ事例
アルツハイマー型認知症のA様は昼間は機嫌が良く点滴などにも協力的でしたが夜間のせん妄が強く夜になるたび帰宅願望が強くなって夜ご飯を食べなくなりました。
昼の間に「傾聴」を繰り返し、こちらからは「今病気(廃用)で歩けないから」と伝えると「トイレはどうしたらいいの?」と訴えを引き出すことに成功しました。
そして出来るだけスタッフが対応することを約束しました。
とはいえA様は排尿/排便の訴えがないため時間を決めてトイレ促しの声かけをしていくことになりました。
すると、少しずつおしっこが出るようになりました。
おしっこが出た時は夜間のせん妄が比較的落ち着く時が(まったくなくなったわけではないですが)出てきました。
少なくともご飯は食べてくれるだけの余裕が出てきたのです。
避けた方が良い声かけ
「お金がないので帰れないですよ。」といった声かけは「財布がない」「お金を盗られた!」という風に繋がりやすいためなるべく避けた方が無難と思われます。
食事拒否に対して、明らかに摂取量が少ないのに「お腹いっぱい」「もういらない」といった訴えがある場合が多いですね。
嘔吐や逆流性食道炎の既往がなく、栄養的にもう少し食べて欲しい場合はなるべく食べてもらいたいです。
そんな時、「これ食べてください」よりもスプーンを口元まで持っていき「どうぞ」とだけ伝えることで開口する場合もあります。
食べるという言葉に拒否的な場合に有効だったりします。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
認知症の方やせん妄が強い患者様利用者様の対応が難しい時があります。
難しくて悩んだ時に何かケアの役に立てば幸いです。
それでは!
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