
放線冠梗塞の患者様……。
放線冠って良く聞くけど、どのあたりになるのかな?
wikiで調べてみよう……。

って、え!?
書いてない!!
※2021年8月21日確認

他のところを探してみよう……。
えー何々……?
大脳内部、つまり大脳髄質を走る大量の神経線維が、大脳の最も奥にある内包、大脳基底核、視床などを中心として、放射状に走る様子について付けられた名前
1年生の解剖学辞典: https://anatomy1.net/?%E6%94%BE%E7%B7%9A%E5%86%A0: 2021年8月21日確認

なるほど!
わからん!!

放線冠って何!?
脳のどこにあるの!?
症状はどんなのがあるの!?
脳画像の基礎的な話を知りたいという方はリハノメ動画などがおススメです!
放線冠とは
キーとなるのは「錐体路」です。
自分の意志で行う運動は、随意運動と呼ばれ、歩くこともお茶を飲むためにペットボトルに手を伸ばすのも随意運動となります。
例としてペットボトルを取る運動を考えてみます。
視覚情報から、机の上に置いてあるペットボトルの距離などを得ていきます。
前頭葉や頭頂葉によって、腕をどの程度伸ばしたらいいかという情報が統合され、適切な運動プログラムが構築されます。
そして、前頭葉の一次運動野から電気信号が発せられて、錐体路を通り、腕を動かす随意運動が開始されます。
この錐体路をもう少し詳しく見ていきましょう。
錐体路は、一次運動野を起点として、放線冠、内包後脚、延髄、脊髄をとおり、筋肉へ電気信号が伝わっていきます。

で、肝心の「放線冠」ですが
放線冠は運動線維を含む錐体路や感覚線維が通っています。
久松正樹: 心疾患患者が抱える脳梗塞: 呼吸・循環・脳 実践ケア vol.40 no.4 日総研出版 2019年
上記の引用によると、錐体路以外にも感覚繊維(投射繊維)が通っているようですね。
投射繊維は内包より上では皮質に向かって花束のように開いて放線冠をつくり
岡庭 豊: 医療情報科学研究所: 病気がみえる 脳・神経 vol.7: メディックメディア株式会社 pp.167
と、いうように内包より上で、花束のような形の神経線維の束と考えて大丈夫そうですね。


写真のように放線冠が真っ赤な部分の総称であるなら、梗塞はこの広い範囲なの??
広すぎない??
放線冠梗塞とは?
構音障害の責任病巣として過去の報告例を検討すると、
内包前脚ならびに前頭放線冠(前頭橋路)を責任病巣とする報告が最も多く、
その他の責任病巣として内包膝部あるいは中部放線冠と橋底部(皮質延髄路の障害)、前頭葉皮質・皮質下(bulbar motor cortex)が報告されているが、
内包後脚あるいは後部放線冠による病変の報告はきわめて少ない。
野村 誠 他4名: 構音障害のみを呈した内包後脚梗塞 3 症例の臨床的検討: 一般社団法人 日本脳卒中学会 脳卒中 Vol.36: pp.38–41, 2014年

放線冠は投射繊維の総称のようですので、前頭部、中部、後部と分かれているようですね。

放線冠梗塞と言われる脳画像をいくつか拝見しましたが、尾状核(体部)よりも若干外側に位置する部分で梗塞巣があり、そこが放線冠梗塞と言われていますね。

血管や神経が通る穴が開いているため、ここを通る血管(穿通枝)が梗塞を起こすと放線冠梗塞となる可能性があります。
ここの血管はどうやらラクナ梗塞の好発部位だそうで、さらに「レンズ核線条体動脈」は被殻出血の方の好発部位でもあるそうです。

これらの情報から、放線冠梗塞は、この穴を通る穿通枝の梗塞によって起こり、内包後脚よりも上の脳画像で梗塞巣が見つかったら、放線冠梗塞となると思われます!

穿通枝は小さな血管であり、 中大脳動脈のような大きな血管ではないので、梗塞が起こっても、脳画像上では、中心付近の小さな梗塞巣として見つかると思われます。

放線冠梗塞の症状
- 運動障害
- 感覚障害
- 構音障害
梗塞部位にもよりますが、錐体路で障害が起これば、歩行などの運動障害が出るようですね。
感覚障害が起こる場合もないわけではないようです。
STとして見逃せないのが構音障害ですね。
錐体路は唇の動きも関わってきますから、錐体路が通る放線冠の局在に梗塞が出来れば、動きも悪くなってしまいますね。
予後は比較的良好と言われています。
大きな血管がつまるわけではないためと言われておりますが、梗塞巣の場所次第といった感じのようですね。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
手持ちの本や様々な論文を拝見しましたが、なかなか欲しい情報が見つかりませんでした。
ですので、これらの情報が少しでも疑問を解決出来れば幸いです!それでは!
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