新年度から新しく入職されるリハビリスタッフの方や、臨床実習を控える学生さんは、先輩や指導者の評価が気になるところですね。
特に学生さんには「患者様とうまく会話出来ているか」というポイントに焦点を当てて欲しいです。
指導者の中ではそこを一番見ているタイプの人も多いです。
そこで、具体的な「ダメな会話」についてのお話です。
ダメな会話

目白大学の准教授後藤先生の論文では、言語聴覚士の学生39名と失語症者との会話を5分間観察し問題となった行動をピックアップしたのだそうです。1)
その数なんと25個です。
かなり多いですね。
ピックアップされた会話中の問題行動、例えば
- 癖
- 発話速度
- 相手の発話の理解
- 発話量のバランス
などなどあります。
癖
人との会話中によく触ってしまう行動ですね。
特に「ボールペンの頭をカチカチ鳴らす」はついやってしまう行動の1つですね。
気になる人は気になるので気を付けた方が良いでしょう。
「話を真剣に聞いていない」と思われてしまうかもしれないからです。
発話速度
緊張しているとついつい早口になってしまいますね。
しかし、可能であれば相手の速度と同じペース方が良いです。
相手が早口であれば自分もある程度早口でも大丈夫ですが、少しゆっくり話すくらいの気持ちが良いと思います。
緊張して声が上ずったりすることもあるかもしれませんが、そういうところにも配慮出来るくらいの余裕があると良いですね。
相手の発話の理解:同じ質問を2回する
緊張しているとたまにやらかしてしまう……「同じ質問を2回する」というミスについてです。
例えば「昼ごはんは何を食べましたか?」と尋ねてご飯の話を広げた後に「お昼ご飯は食べましたか?」と聞いてしまう奴です。
他にも会話中に出ていたのに再び質問してしまうこともありますね。
「昼ごはんは何を食べましたか?」と尋ねて「一人でうどん屋」と答えてもらい「うどんのトッピング」などの話になった後「誰とご飯に行ったんですか?」と質問してしまうパターンのことです。
発話量のバランス
これも注意してほしいところですね。
こっちが一方的に質問攻めになるパターンが多いです。
相手の方からも話を広げてもらわないと困ります。
話題に食いついてもらえないと辛いのでいくつか話題を用意しますが、コロコロ話題が変わるのもそれもそれで不自然と思われがちです。
筋のあるお話を考えてくるくらいの気持ちが大事ですが、健常な高齢者の方と楽しくおしゃべり出来るレベルだとより良いですね。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
失語症や運動障害性構音障害などの障害を持つと、なかなか人とコミュニケーションが取れず、会話をする事が嫌になってしまいます。
そんな方と会話をしていくのは難しいですが、前向きな気持ちを持って欲しいと思います。
何かの参考になれば幸いです。それでは!
参考文献
後藤 多可志,春原 則子,今富 摂子,高崎 純子, 言語聴覚療法学を専攻する学生の会話能力向上を目的としたビデオ教材の開発と教育効果の検証, 言語聴覚研究, Vol.17 No.3 2020, pp154-161
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