塗り絵を行う理由
認知症患者様のために「塗り絵訓練」を行うことがあります。
その理由として「回想法」を組み合わせながら行うことが出来るからです。
回想法とは?
心理療法の1つで、「過去の写真や音楽、馴染み深かった物などを利用して思い出を語ってもらうこと」です。
過去に馴染みのある「絵」を塗り絵で塗ってもらいながら、過去の話をしてもらいます。
実際に、認知症の問題行動”BPSD”の非薬物療法の1つに「回想法」があります。
この「回想法」と塗り絵を組み合わせてBPSDや認知症症状の対策を行うことがあります。
気分を落ち着かせる
塗り絵課題の構造が不安と気分に影響を与えるかを調べる研究を行った結果,自由に彩色する群が模倣して彩色する群よりも,ポジティブ気分の低下がより小さく,ネガティブ気分の低下がより大きく,不安の低下がより大きくなり,構造の程度が不安と気分の変化に影響を与えることが示された。
野末美和子, 近江政雄, 長尾紀久子, 塗り絵による脳活動および気分の変化, 日本心理学会第82回大会, 2018年
本人様の受け入れ方次第ですが、「塗り絵」には工夫次第で「気分を落ち着かせる効果」が期待出来ます。
元々絵を描くことが好きな人だと、より受け入れやすくなると思われます。
読み書き計算の代わりとして
読み書き計算の代替手段の1つとして「塗り絵」があります。
塗り絵は特別な技能が必要というわけではなく、読み書き計算と比べて楽しく、比較的認知症の方も受け入れやすい訓練でもあります。
塗り絵の特徴
取り組みやすい=集中してくれる
読み書き計算よりも取り組みやすい内容のため、集中してくださいます。
そのため「注意持続力」の低下をきたす注意障害の方にもおススメです。
本人様の受け入れが良かったり、元々絵を描くのが好きな人にはうってつけの訓練と言えるでしょう。
欠点
塗り絵を行うことで様々な効果が期待出来たり、認知症のBPSDの対策としても注目されていますが、現状ではエビデンスが整っているわけではないということです。
脳波を用いた研究なども進められているので、今後の結果に注目ですね。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
比較的安価で、すぐに用意出来て取り組みやすい「塗り絵」訓練はすごく重宝されますが、なぜ「塗り絵」訓練が良いかというと、エビデンスが少なく、本人様の性格などが関与していると思われます。
なので本人様に合った塗り絵を提示し、工夫を入れて訓練ができると良いですね!それでは!
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