
この方にはゼリーをスライスで食べてもらっていたけれども、どうやらクラッシュの方がムセが少ないらしい。
本ではスライスの方が良いって言われているのになぜだろう?
クラッシュゼリー/スライスゼリーとは?
嚥下障害を持つ高齢者の方は「ゼリー食」が中心だったりします。
その「ゼリー」を介助で食べてもらう時、1口のゼリーを細かく刻んで「クラッシュ」とするか「スライス」にして提供するか、介助方法のことを指す言葉です。

ゼリーをクラッシュする利点と欠点
利点
咽頭への送り込み時間について比較検討すると、スライスゼリーでは平均22.5±8.0秒に対し、クラッシュゼリーでは平均15.5±8.5秒でありスライスゼリーよりもクラッシュゼリーの方がより速やかであった。
火田 裕香, 清水 隆雄, 藤岡 誠二, 食物形態の相違による口腔通過時間の検討 一ゼリー,トロミ付き水を用いて一, 日摂食嚥下リハ会誌 11(2)pp.97-103
とあります。
欠点
細かくクラッシュしているので、口腔内に小さなゼリーのかけらが残る可能性は高くなります。
スライスゼリーも丸のみではなく「よく噛んで」と声かけしてしまうと口の中に残ってしまうリスクとなるので注意は必要となります。
口の中にゼリーが残ったままは虫歯の原因や、ゼリーを食べる雑菌が増え、雑菌を多く含んだ唾液を夜間に誤嚥することで誤嚥性肺炎を発症してしまうリスクがあります。
加えて口の中にゼリーが残ったままベットに寝転がり、その瞬間に誤嚥するリスクもあります。
ゼリーをクラッシュする方が有効な嚥下障害は?
- 5期モデルで言う口腔期:食べ物をのどへ送り込むのが苦手な方
などが上げられます。
舌による送り込みが困難な方は「速やかにのどへ送りたい」わけなので、ベットギャッジの角度+クラッシュなどで調整することが可能となります。
ゼリーをスライスする利点
クラッシュ欠片1つ1つに嚥下圧が均等にかけるのは難しいです。
その結果、欠片がばらけて口やのどに残留しやすく、誤嚥しやすくなる恐れがあります。
ゼリーをスライスする方が有効な嚥下障害は?
- 5期モデルでいう咽頭期(飲み込む瞬間)に問題のある方
となります。
送り込みの問題がある人でもギャッジアップの角度を調整してその問題をクリアできることもあります。
そのため、主に「スライス」での介助が適用となります。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
本来、ゼリーの食事介助はスライスの方が有力とされていますが、送り込み障害が重度の場合はそうではない可能性があります。
見方を変えて、適切な介助方法を模索出来ると良いですね!それでは!
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