誤嚥性肺炎を発症し、病院に搬送されて入院される方は大勢いらっしゃいます。
そこで、今回誤嚥性肺炎患者様に対して適切に対処されている言語聴覚士(以下ST)さんにまつわるお話です。
早期ST介入が早期退院につながっている
誤嚥性肺炎を発症された患者様に対してSTが適切に嚥下機能を評価し、早期に経口摂取を促すことで早期退院につながっていると報告されています。1)
これはSTの必要性が今後も高まっていくこととなると思います。
しかし、今後もさらにSTは知識を増やし経験を積んでより正確に評価、訓練へとつなげる必要があります。
今回ご紹介させていただく論文はより知識を増やし、評価を正しくしていくために必要な論文だと思います。
論文紹介(参考文献)
- 小山内 奈津美, 森永 伊昭, 白戸 香奈子, 大高 由美, 泉谷 信子, 高橋 詩子, 誤嚥性肺炎患者に対する早期嚥下評価・嚥下訓練の影響, 言語聴覚研究 Vol.17 No.3 2020
要約
早期にSTが介入することで経口摂取を確立し、退院出来た症例様が多かったと報告されています。
退院できた症例様206人と出来なかった症例様54人とを比較し、統計解析を行った結果、STが介入するまでにかかった時間が長い程、退院できなかったとのことです。
もちろん、STが介入する以外の理由もあるのではないかと思う人もいらっしゃるはずです。
そのため、様々な要素にも着目してあり、とても勉強になりました。
文字数と読書時間
おおよそ3500字で11分12秒で読了しました。
図は2つで表は2つです。
専門用語解説
charlson併存疾患指数スコア1)
「チャールソンのへいぞんしっかんしすう」と呼ぶのだそうです。
これは生命予後と関連のある併存疾患をスコアかした指標で、スコアが高いほど生命予後が不良である1)とのことです。
一番始めに思いつくのは「ガン」ですが、他にも「心疾患」「脳血管疾患」「糖尿病」などおよそ19の疾患が対象となっています。
ガンでは重みが高く1つあるだけで重度ですが、心疾患などは重みが一番低く設定されておりました。
A-dropスコア1)
年齢と脱水症、経皮的動脈血酸素飽和度低下、意識障害、血圧低下の5つの指標による肺炎重症度の評価方法1)なのだそうです。
0は軽症で1~2は中等症、3は重症で4~5は超重症1)として評価されるのだそうです。
男性であれば70歳以上、脱水症が認められ、SpO2が90%以下、意識障害と最高血圧が90以下と全てそろえば超重症となるようです。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
誤嚥性肺炎を発症し、禁食となるケースが多いですし、早期に介入する意義はあると思います。
しかし、しっかりとしたデータがなかったためあまり強く言えませんでしたが、この報告によりSTの役割は大きかったんだと改めて思うことが出来ました。
様々な論文に触れて、日々の臨床がより良くなることを願います。それでは!
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