
嚥下障害の患者様。
セラピストと会話はしてくれるけれどリハビリとなると嫌がってしまう……。
全然口腔体操や口腔機能の評価が出来てない、
どうやったらリハビリに協力的になってくれるだろうか?

STは、なかなかリハビリの効果を実感しにくいところあるからね。
かなり難しいですね。
傾聴を繰り返しながら拒否する理由を探っていくしかないよね。
ちなみに、患者様とはしっかり会話出来ているのかな?
構音面は悪くない?

構音面?
うーん悪くない気がします。
あ、でも少し「タ行」と「ラ行」が聞き取りづらいかもしれません。
確か、構音と嚥下って関わりがあるって習いましたけど、具体的にはどういう関係があるんでしょうか?
構音と嚥下の関係
「タ行」「ダ行」「ナ行」「ラ行」といった歯茎音
送り込み障害では、舌の挙上を必要とする歯茎音(「t/タ行」「d/ダ行」n/ナ行」「r/ラ行」)が特に不明瞭となることがある。
大宿茂, 食べて治す!頸部聴診法と摂食嚥下リハ実践ノート, 日総研出版, 2018年, pp.37
口腔期の障害として挙げられる「送り込み障害」
食塊を形成しながら、安全に咽頭へ送り込む力ですが、歯茎音の歪みが認められると送り込み障害を疑います。

可能な限り、歯茎音の訓練を挟みたいところですが、拒否がある場合は、フリートークから初めてみるのも良いと思われます。
本人様が興味のあるテーマの話を続け、自然に歯茎音の表出を促していくといいですね。
「パ行」「バ行」「マ行」といった両唇音
口唇閉鎖に問題があると、両唇音(「p/パ行」「b/バ行」「m/マ行」)が特に不明瞭になることがある。
大宿茂, 食べて治す!頸部聴診法と摂食嚥下リハ実践ノート, 日総研出版, 2018年, pp.36

上記の本にも記載してある通り、両唇音に歪みがあると、咀嚼中のこぼすリスクが考えられます。
こぼすだけならいいのですが、こぼしたことに気を取られてムセてしまう方が多数いらっしゃるので、注意が必要です。
「カ行」「ガ行」といった軟口蓋音
「k/カ行」「g/ガ行」などの軟口蓋音を構音させ、口峡を閉鎖させる訓練をします。
大宿茂, 食べて治す!頸部聴診法と摂食嚥下リハ実践ノート, 日総研出版, 2018年, pp69

早期咽頭流入を防ぐ目的で軟口蓋音の訓練を行います。
「k/カ行」「g/ガ行」の音がお会いした時に歪みが強いなぁと感じたら、トロミ具合の確認、変更を行うこともあります。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
構音と嚥下に関して、かなり密接に関係があり、嚥下の訓練が構音に影響を与えたり、構音の訓練が嚥下に影響を与える事もあります。
しかし、どんな構音訓練をすればいいか悩むことがあるかもしれません。
大宿先生のこちらの本では、嚥下訓練に特化した構音練習集がありますので、是非とも参考にしていただければと思います。
それでは!
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