新人ST向け:失語の流暢性評価の難しさ

失語関連
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■流暢性の重要性

・病態の把握

・他者へ情報伝達のため

流暢性評価を行う理由

病態の把握

脳卒中により、失語症となった場合、脳の障害部位によって様々な言語症状が現れます。

その1つ「発語失行」は流暢性が損なわれる病態です。

発語失行か否かを判断し、なぜ話しにくくなるのかを評価することで、見当違いな介入を行わないようにすることが大切です。

古典8分類の把握

おなじみ、失語症の古典8分類です。

それぞれ3つの指標があり、流暢性のある失語は〇、非流暢な失語は×となります。

とはいえ、臨床ではしっかりと分類わけできるわけでもなく、時折「伝導失語」なのか「ブローカ失語」なのかで悩まれる部分もあります。

特に発語失行と伝導失語との鑑別が難しい場合があり、それによって病態の把握を誤り、全体像を捉えそこなう危険性もあります。

流暢性把握の困難さ

「流暢性」を評価するのはとても難しいです。

こちらの記事では「流暢性の評価」3つについてお伝えしております。

  • 話し言葉の特徴に関するBosten評定尺度 プロフィール
  • Bensonの流暢性評価
  • WAB流暢性評価

これら3つの評価は新人STさんなどは混乱されることもあります。

特に流暢性評価の1つ『話し言葉の特徴に関するBosten評定尺度』の中の「メロディ(抑揚)」が認められるかの判断が新人STさんにとって難しいという研究結果もあります。

流暢性評価尺度の項目別では「メロデイ」「句の長さ」「文法的形態」の評価は、学生とSTとで評価較差が生じやすい。

辰 巳寛,山本 正彦, 失語症における発話流暢性評価に関する実態調査一一言語聴覚士養成教育への応用一一, 愛知学院大学心身科学部紀要第 6号 (21-28) , 2010年

なので「メロディ」(抑揚)に関してしっかり見ていく必要があります。

訓練立案と流暢性の評価は関係がない?

プロソディ障害は改善しても、消失することは難しいといわれています。

森田 秋子, 春原 則子, 動画と音声で学ぶ失語症の症状とアプローチ, 三輪書店, 2017年

このように、流暢性の要素の1つ「プロソディ」に関して、ある程度の改善は見込めても消失は難しいという情報もあります。

加えて

症例の発話の流暢性/非流暢性を招来している障害構造を明らかにすることが求められる

伊澤 幸洋,小嶋 知幸, 訓練法を立案する立場からみた流暢性の諸問題, 神経心理学第34巻, 第1号

とも言われており、評価して終わりというわけにはいかず、障害構造をしっかり見ていくことが大切であると言われています。

では流暢性の評価はまったく必要がないか?と言うわけでもありません。

症状として、自発話や復唱において音韻的な誤り、そして仮名の操作にも誤りが生じているケースでは、背景となる障害メカニズムとして音韻処理障害を重視し、そこをねらった訓練法を。

一方、語性錯語が主たる症候であるケースでは、語彙・意味処理障害を想定した訓練法を立案する。

症状の成因によって採用すべき訓練法は異なる。

伊澤 幸洋,小嶋 知幸, 訓練法を立案する立場からみた流暢性の諸問題, 神経心理学第34巻, 第1号

というように、流暢性の評価と認知神経心理学的評価から質的評価を加えて、失語症の全体像を把握していく必要があるとも述べられています。

情報を伝達しやすくする

そして評価を行ったのであれば評価結果を同じSTに伝達したり、退院サマリーなどの記載に役立つことがあります。

本人様がどの程度「流暢性」に対して理解されていて、どのように受け止めていらっしゃるのかも伝えやすくなります。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

「流暢性」の評価は難しく、そしてあまり重要視されていない部分もあります。

特に訓練立案に流暢性評価は不必要という論文も散見されるため、今後の研究に注目ですね。それでは!

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