新人ST向け:基本的な発語失行の評価と訓練

失語関連
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発語失行の人に対してどんなアプローチがあるんだろう?

では一般的に行われている発語失行の評価や訓練についてお伝えします!

失語症の評価

  • SLTA
  • WAB失語症検査

SLTAでは「まんがの説明」といった自発話が一番出やすい検査項目があるので、そこで文法的なエラーや構音のエラーが確認できます。

加えて、内言語のエラーがないことの確認としても使用したりします。

だいたい運動性失語が併発しておりますが……。

WABは自発話の評価が可能で、その評価の中で6つの項目があります。

  • 発話の長さ
  • メロディ
  • 命題文
  • 文法能力
  • 錯誤
  • その他

これらの項目を見ていくことが可能となります。

これらの情報があると、どういった訓練を重点的に行うかが決めやすいですね。

発話の精査

  • 単音節の復唱検査
  • 単語の音読検査
  • アクセント課題

単音節の復唱検査

一貫性のない構音の誤りを検出する目的で100音節からなる単音節の復唱を3試行連続して行い、

各試行における構音の正答率並びに

3試行とも連続して正答した比率、

2試行連続して正答した比率、

交互に2試行で正答した比率、

1試行のみ正答した比率

を算出

福永 真哉 他5名: プロソディ障害が残存した右半球病巣による非右利き発語失行の1例: 音声言語医学 Vol.61: 2020年

論文内ではこういった方法を用いて、「構音の誤りの浮動性」を数値化しております。

単語の音読検査

発語失行の主な症状である「構音の歪み」や「音の連結不良」について精査するために行われます。

音の連結不良については、

「トツトツとしている部分がある」

「1音1音が切れている」

という聴覚的印象がある場合

福永 真哉 他5名: プロソディ障害が残存した右半球病巣による非右利き発語失行の1例: 音声言語医学 Vol.61: 2020年

アクセント課題

発語失行の問題の1つ「プロソディ障害」を見るために評価していきます。

評価する際は、「日本音声言語医学会試案Ⅰの麻痺性構音障害用プロソディ検査」があったりします。

それを用いて「アクセントパターン」について見ていきます。

発語失行の一般的な訓練

発語失行の症状

・構音の誤り

・構音の歪み

・プロソディ障害

に対してそれぞれ訓練していき、発語能力の向上を目的として介入することが多いですね。

現在臨床現場では、発語失行に対する訓練方法として、

①聴覚・視覚両刺激を与えて構音動作の模倣を促す方法である斉唱訓練や、ビデオによる訓練、

②視覚および口腔内の体性感覚にフィードバックを与えるダイナミックパラトグラフィ(DP)を用いた方法、

③口腔顔面動作の訓練、

④大脳全体を総合的に刺激することによって構音機能をも改善させようとする方法などが知られており、

障害の重症度や回復段階に応じてこれらを組み合わせて使用しているのが現状である。

小嶋 知幸, 他2名: 発語失行における軟口蓋破裂音に対する訓練法-構音点に対して冷却刺激を加える方法-: 音声言語医学 Vol.43 No.2 2002年

①復唱といった聴覚刺激を繰り返し行ったり、模倣といった視覚刺激にて構音の改善を促す方法ですね。セラピストの口や舌を見せてどこに舌を合わせるかなどを見てもらい、訓練をしていきます。

②感覚が低下している可能性があり、冷却刺激などで刺激を繰り返し入力しフィードバックを行っていきます。

③一般的な口腔体操やAMSDを利用した口腔運動の促しが主ですね。

④全体構造法と呼ばれる手技を用いて構音機能の改善を図ります。

様々な文献から、プロソディ障害に対する改善が難しいようなので、構音の誤りを改善するための構音訓練が主だったりします。

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

発語失行といっても、様々なパターンがありますし、併存する他の障害もあるため、しっかりとした評価を行い、本人様に適切な構音訓練を提供できるようになると良いですね!

なかなかプロソディ障害への改善が難しいので、発語失行の他の問題点「浮動的な構音の歪み」に対する改善を図ることが目標となる場合が多いですね。

これらの情報が臨床で活かせていただければ幸いです

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