病院に入院されている方全員が治療に対して協力的というわけではありません。
それよりも病気によって障害を持ってしまい気持ちがズンと落ち込んで何もかも嫌になってしまう人の方が多いです。
特に元気だったころ頑張っていた高齢者の人はそうなりやすい傾向にあると思います。
若いころの話をされる時はすごく生き生きと話されるのですが、いざリハビリをしようとすることや治療の説明をしようとすると途端、布団の中にうずくまる人もいらっしゃいます。
そのような方とどのように接していくかの例をご紹介していきます。
この記事で分かること
・障害受容について
・障害受容の過程に合わせた声掛け
・障害受容を他職種でケアをした事例について
障害受容について
障害受容という言葉があります。
病院に入院した患者様が、思っている以上に体の調子が悪いため、死んでしまうのではないだろうかという不安や悲しみに深く落ちこんでしまうのは想像に難くないと思います。
ですが、人というのは基本的にずっと落ち込んでいる状態が続くわけではありません。
病状などを把握していき、少しずつ前向きになってくれることもあります。
その前向きには段階があると言います。
それが「フィンクの分類」であったり「コーンの分類」というものです。
基本的には「ショック・衝撃」と呼ばれる状態からスタートします。
病気による障害が全く受容出来ていない状態ですね。
そこから「悲観」し無気力となったり時には「回復を期待」して一時リハビリや治療に対して意欲的な態度をとるようになったりします。
しかしその態度は『すぐに治るだろう』と楽観的な部分もあったりします。
その後「退行」といった子ども戻りのような状態となったり、「防衛」といった出来ていたことに固執するような過程をたどります。
最後は「承認・適応」と少しずつ状態を受け入れていきます。
状態に合わせた声掛け
患者様の性格に合わせる必要もありますが、患者様の障害受容過程がどの段階なのかを確認して関わっていくのが良いと思われます。
例えば「悲観」の過程で患者様と一緒にリハビリを行う時であれば患者様の話を傾聴しつつ、出来ることから始めていくのが良いです。
患者様の「出来る」ことについて評価し「患者様にとって難しい課題」を避けながら行っていきます。
どうしても「この程度出来て当たり前」といった返答があり、リハビリをるかもしれません。
ですが「大事なことなので」「繰り返ししていくことが重要です」と説得していけると良いですね。
事例紹介
今回紹介させていただく方は寝たきりによって嚥下障害となった方です。
その方はご飯を食べる意欲があるのですが飲み込みがうまくいかずムセてしまう人でした。
問題点の1つに「まだ飲み込めていないのに口を開けてしまう」という点がありました。
看護師は「まだ飲み込めてないから」といって口を閉ざすよう要求しますが、患者様は「飲み込めている」「何も問題はない」という風に感じておられました。
そのため食事中の誤嚥リスクが高くカンファレンスで議題にあがりました。
患者様はまだ障害を受容されておらず「否認」しておられる状態であるとカンファレンスで話しました。
そのため声掛けは「飲み込めていない」と声掛けをするのではなく「もう1回ごっくんと飲み込んでください」「その方が安全ですから」と前向きな声掛けを行うよう方向性が決まりました。
まとめ
ここまでご覧いただきありがとうございます。
患者様の障害受容について考えていくのは看護師や介護士、そしてリハビリスタッフにとっても重要なことであると思います。
患者様の障害受容の段階を無視してアプローチをしても効果が薄いことが多いです。
効果的に進めていくためにもこの障害受容について考えていくことが良いと思います。
患者様にもそして医療従事者にとってもより良い時間となるといいですね!その一助となれば幸いです。それでは!
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